・前治療歴のあるMMR欠損またはMSI-Highを有する切除不能な局所進行/転移性固形がん患者が対象の第2相試験
・抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・フォローアップ期間中央値23.5ヵ月時点において、客観的奏効率は34.3%を示した
2019年11月4日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて前治療歴のあるミスマッチ修復(MMR)欠損またはMSI-Highを有する切除不能な局所進行/転移性固形がん(大腸がんを除く)患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のKEYNOTE-158試験の結果がGustave RoussyのAurelien Marabelle氏らにより公表された。
KEYNOTE-158試験とは、前治療歴のあるミスマッチ修復(MMR)欠損またはMSI-Highを有する切除不能な局所進行/転移性固形がん患者(N=233人)に対して3週を1サイクルとしてキイトルーダ200㎎単剤療法を最大2年間または病勢進行するまで投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)を検証した多施設共同オープンラベル非ランダム化の第2相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は60.0歳。性別は女性58.8%(N=137人)。前治療歴は2レジメン以上の患者が大半。登録された患者のがん種は27種類であり、子宮内膜がん、胃がん、胆管がん、膵臓がん、小腸がん、卵巣がんの患者が多かった。
以上の背景を有する患者に対する本試験のフォローアップ期間中央値23.5ヵ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は34.3%(95%信頼区間:28.3%‐40.8%)を示した。副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は4.1ヵ月(95%信頼区間:2.4‐4.9ヵ月)、全生存期間(OS)中央値は23.5ヵ月(95%信頼区間:13.5ヵ月‐未到達)。
奏効持続期間(DOR)中央値は未到達(95%信頼区間:2.9‐31.3ヵ月)を示した。なお、カプランマイヤー解析により12ヵ月以上の奏効持続期間(DOR)を示した患者は86.9%、24ヵ月以上の奏効持続期間(DOR)を示した患者は77.6%を示した。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は64.8%(N=151人)、グレード3-5の治療関連有害事象(TRAE)発症率は14.6%(N=34人)を示した。なお、グレード5の肺炎を発症した患者が1人確認されたが、その他の致命的な治療関連有害事象(TRAE)を発症した患者は確認されなかった。
以上のKEYNOTE-158試験の結果よりAurelien Marabelle氏らは以下のように結論を述べている。”前治療歴のあるミスマッチ修復(MMR)欠損またはMSI-Highを有する切除不能な局所進行/転移性固形がんに対するキイトルーダ単剤療法は臨床的意義のある客観的奏効率(ORR)を示し、安全性も既存の臨床試験で確認されている有害事象(AE)と一致しておりました。”