・プラチナ系抗がん剤治療後の局所進行性または転移性尿路上皮がん患者が対象の第3相試験
・サイラムザ+ドセタキセル併用療法の有効性・安全性を比較検証
・プラセボ+ドセタキセル群に比べ、病勢進行または死亡のリスクを30.4%統計学有意に改善
2019年11月18日、医学誌『The Lancet Oncology』にてプラチナ系抗がん剤治療後の局所進行性または転移性尿路上皮がん患者に対する抗VEGFR2抗体であるラムシルマブ(商品名サイラムザ;以下サイラムザ)+ドセタキセル併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のRANGE試験の結果がYale School of MedicineのDaniel P Petrylak氏らにより公表された。
本試験は、プラチナ系抗がん剤治療後の局所進行性または転移性尿路上皮がん患者(N=530人)に対して21日を1サイクルとして1日目にサイラムザ10mg/kg+ドセタキセル60~75mg/m2併用療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与する群(N=263人)、または21日を1サイクルとして1日目にプラセボ+ドセタキセル60~75mg/m2併用療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与する群(N=267人)に1対1の割合で振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、重要な副次評価項目として全生存期間(OS)などを比較検証した二重盲検比較の第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はサイラムザ群4.1ヵ月(95%信頼区間:3.3‐4.8ヵ月)に対してプラセボ群2.8ヵ月(95%信頼区間:2.6‐2.9ヵ月)、サイラムザ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを30.4%(HR:0.696,95%信頼区間:0.573‐0.845,P=0.0002)統計学有意に改善した。
重要な副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はサイラムザ群9.4ヵ月(95%信頼区間:7.9‐11.4ヵ月)に対してプラセボ群7.9ヵ月(95%信頼区間:7.0‐9.3ヵ月)、サイラムザ群で死亡(OS)のリスクを11.3%(HR:0.887,95%信頼区間:0.724‐1.086,P=0.25)改善した。
一方の安全性として、5%の以上の患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は発熱性好中球減少症(FN)でサイラムザ群9%に対してプラセボ群6%、好中球減少症でサイラムザ群7%に対してプラセボ群2%を示した。また、重篤な有害事象(SAE)発症率はサイラムザ群43%に対してプラセボ群40%、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率はサイラムザ群3%に対してプラセボ群2%を示した。
以上のRANGE試験の結果よりDaniel P Petrylak氏らは以下のように結論を述べている。”プラチナ系抗がん剤治療後の局所進行性または転移性尿路上皮がん患者に対する抗VEGFR2抗体サイラムザ+ドセタキセル併用療法は無増悪生存期間(PFS)を統計学有意に改善しました。”