・進行性固形がん患者を対象に標準化学療法と免疫チェックポイント阻害薬の有害事象発症率を比較検証
・主要評価項目であるグレード3以上の有害事象発症率は免疫チェックポイント阻害薬群で24.59%低かった
・また有害事象による治療中止率や死亡率も免疫チェックポイント阻害薬群で低率であった
2020年1月6日、医学誌『Annals of Oncology』にて進行性固形がん患者に対する標準化学療法、抗PD-1/PD-L1抗体薬、抗CTLA-4抗体薬などの免疫チェックポイント阻害薬の有害事象(AE)発症率を比較検証したメタアナリシス試験の結果がUniversity of TorontoのD.E. Magee氏らにより公表された。
本メタアナリシス試験は、標準化学療法、または免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けた進行性固形がん患者(N=12,727人)、22の第2/3相臨床試験を対象にして両群間におけるグレード3以上の有害事象(AE)発症率、副次評価項目として全グレードの有害事象(AE)発症率、有害事象(AE)による治療中止率、有害事象(AE)による死亡率などを比較検証したメタアナリシス試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるグレード3以上の有害事象(AE)発症率は免疫チェックポイント阻害薬群16.5%に対して標準化学療法群41.09%、免疫チェックポイント阻害薬群でグレード3以上の有害事象(AE)発症率は24.59%低かった(OR 0.26, 95%信頼区間:0.19–0.35)。
副次評価項目である全グレードの有害事象(AE)発症率は免疫チェックポイント阻害薬群で低率(OR 0.35, 95%信頼区間:0.28–0.44)、有害事象(AE)による治療中止率は免疫チェックポイント阻害薬群で低率(OR 0.55, 95%信頼区間:0.39–0.78)、有害事象(AE)による死亡率は免疫チェックポイント阻害薬群で低率(OR 0.67, 95%信頼区間:0.46–0.98)であった。
なお、免疫チェックポイント阻害薬群に比べて標準化学療法群で多くの患者に確認された有害事象(AE)は下記の通りである。疲労が標準化学療法群25.10%に対して免疫チェックポイント阻害薬群15.83%、下痢が標準化学療法群14.97%に対して免疫チェックポイント阻害薬群11.13%、急性腎障害が標準化学療法群1.79%に対して免疫チェックポイント阻害薬群1.31%であった。
一方、標準化学療法群に比べて免疫チェックポイント阻害薬群で多くの患者に確認された有害事象(AE)は下記の通りである。大腸炎が免疫チェックポイント阻害薬群1.02%に対して標準化学療法群0.26%、肺炎が免疫チェックポイント阻害薬群3.36%に対して標準化学療法群0.36%、甲状腺機能低下症が免疫チェックポイント阻害薬群6.82%に対して標準化学療法群0.37%であった。
以上のメタアナリシス試験の結果より、D.E. Magee氏らは下記のような結論を述べている。”進行性固形がん患者に対する抗PD-1/PD-L1抗体薬、抗CTLA-4抗体薬などの免疫チェックポイント阻害薬は、標準化学療法に比べてグレード3以上の有害事象(AE)発症率を低下させ、有害事象(AE)による死亡率も低下させることが本試験より示されました。”