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HER2陰性早期乳がん患者に対する術前化学療法としてのキイトルーダ+化学療法、病理学的完全奏効率30%~60%を示す

この記事の3つのポイント
HER2陰性のステージII~III乳がん患者が対象の第2相試験
術前化学療法としてのキイトルーダ+化学療法の有効性安全性を検証
・化学療法のみの群に比べて約2倍の病理学的完全奏効率を示した

2020年2月13日、医学誌『JAMA Oncology』にてHER2陰性早期乳がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)+化学療法の有効性、安全性を検証した第2相のI-SPY2試験(NCT01042379)の結果がThe University of ChicagoのRita Nanda氏らにより公表された。

I-SPY2試験とは、HER2陰性のステージII~III乳がん患者に対する術前化学療法としてパクリタキセル80mg/m2を投与後、ドキソルビシン60mg/m2+シクロホスファミド600mg/m2併用療法を投与するコントロール群、またはパクリタキセル80mg/m2+ドキソルビシン60mg/m2+シクロホスファミド600mg/m2+キイトルーダ200mg併用療法を投与するキイトルーダ群に無作為に振り分け、主要評価項目として病理学的完全奏効率(pCR)を比較検証した第2相試験である。

本試験が開始された背景として、治療歴のある進行性ホルモン受容体陽性HER2陰性またはトリプルネガティブ乳がん患者に対するキイトルーダ単剤療法は客観的奏効率(ORR)12%(95%信頼区間:4.8%‐18.5%)と低率であった。以上の背景より、乳がんに対する抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ単剤療法は、より早期の段階で治療する方が抗腫瘍効果を発揮する可能性がある。以上の背景より、I-SPY2試験が開始された。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値はキイトルーダ群50歳(27‐71歳)に対してコントロール群47歳(24‐77歳)。ホルモン受容体ステータスはキイトルーダ群で陽性58%、陰性42%に対してコントロール群で陽性53%、陰性47%。以上の背景を有する患者における本試験の結果は下記の通りである。

主要評価項目である病理学的完全奏効率(pCR)はホルモン受容体陰性群でキイトルーダ群44%(95%信頼区間:33%‐55%)に対してコントロール群17%(95%信頼区間:11%‐23%)、ホルモン受容体陽性HER2陰性群でキイトルーダ群30%(95%信頼区間:17%‐43%)に対してコントロール群13%(95%信頼区間:7%‐19%)、トリプルネガティブ群でキイトルーダ群60%(95%信頼区間:44%‐75%)に対してコントロール群22%(95%信頼区間:13%‐30%)を示した。

以上のI-SPY2試験の結果よりRita Nanda氏らは以下のように結論を述べている。”HER2陰性の早期乳がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ+化学療法は、化学療法のみの群に比べて約2倍の病理学的完全奏効率(pCR)を示しました。”

Effect of Pembrolizumab Plus Neoadjuvant Chemotherapy on Pathologic Complete Response in Women With Early-Stage Breast Cancer(JAMA Oncol. Published online February 13, 2020. doi:10.1001/jamaoncol.2019.6650)

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