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ファーストライン治療後の転移性尿路上皮がん患者に対する維持療法としてのキイトルーダ、無増悪生存期間を統計学有意に改善

この記事の3つのポイント
ファーストライン治療後の転移性尿路上皮がん患者が対象の第2相試験
維持療法として抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法の有効性安全性を比較検証
プラセボ群と比較して、キイトルーダ群で病勢進行または死亡のリスクが35%統計学有意に改善

2020年4月9日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にファーストライン治療後の転移性尿路上皮がん患者に対する維持療法としての抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験(NCT02500121)の結果がMount Sinai School of MedicineのMatthew D. Galsky氏らにより公表された。

本試験は、ファーストライン治療後の転移性尿路上皮がん患者に対する維持療法として3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg単剤療法を最大24ヶ月投与する群、またはプラセボを投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)、副次評価項目として全生存期間OS)を比較検証した二重盲検下の第2相試験である。

本試験が開始された背景として、転移性尿路上皮がんに対する現在のファーストラインにおける標準治療はプラチナ系抗がん剤ベースの治療である。同治療はファーストライン治療として約6サイクルの治療期間であり、蓄積毒性が出るために治療を短期間で停止する。しかしながら、同治療完遂後の無増悪生存期間(PFS)中央値は3~4ヵ月程度であり、大半の患者は病勢進行に至る。以上の背景より、転移性尿路上皮がんに対する有用性が確認されている、免疫チェックポイント阻害薬であるキイトルーダの維持療法としての有用性が本試験にて検証された。

本試験のフォローアップ期間中央値12.9ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はキイトルーダ群5.4ヶ月(95%信頼区間:3.1‐7.3ヶ月)に対してプラセボ群3.0ヶ月(95%信頼区間:2.7‐5.5ヶ月)、キイトルーダ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを35%(HR:0.65,P=0.04)統計学有意に改善した。

副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ群22ヶ月(95%信頼区間:12.9ヶ月-未到達)に対してプラセボ群18.7ヶ月(95%信頼区間:11.4ヶ月-未到達)、キイトルーダ群で死亡(OS)のリスクを9%(HR:0.91,95%信頼区間:0.52-1.59)改善した。また、客観的奏効率ORR)はキイトルーダ群23%に対してプラセボ群10%を示した。

一方の安全性として、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ群59%に対してプラセボ群38%を示し、キイトルーダ群で多くの患者に確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は貧血、AST上昇、倦怠感、高血圧、高血糖、呼吸困難、尿路感染症であった。

以上の第2相試験の結果よりMatthew D. Galsky氏らは以下のように結論を述べている。”ファーストライン治療後の転移性尿路上皮がん患者に対する維持療法としての抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ単剤療法は、プラセボに比べて客観的奏効率(ORR)は良好であり、無増悪生存期間(PFS)を統計学有意に改善しました。”

Randomized Double-Blind Phase II Study of Maintenance Pembrolizumab Versus Placebo After First-Line Chemotherapy in Patients With Metastatic Urothelial Cancer(J Clin Oncol. 2020 Apr 9:JCO1903091. doi: 10.1200/JCO.19.03091.)

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