5月25日、第一三共株式会社(以下第一三共)は抗悪性腫瘍剤「エンハーツ(一般名トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)以下エンハーツ)」を国内で発売を開始したことを発表した。
エンハーツは化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能または再発乳がんの患者で、標準的な治療が困難な場合が適応となる。乳がんは2018年、世界において年間約210万人が新たに罹患しており、女性において主要ながん死亡の原因である。
約2割の乳がん患者は、がん細胞の表面にHER2というたんぱく質が過剰に発現しており、これをHER2陽性乳がんと呼ぶ。抗HER2療法によりHER2陽性乳がん患者の生存率は改善しているものの、治療後に再発・転移したHER2陽性乳がんにおいて既存薬では治療の選択肢が限定されており、高いアンメットメディカルニーズがある。
今回の発売は、T-DM1(一般名トラスツズマブ エムタンシン、商品名カドサイラ)治療を受けたHER2陽性の再発・転移性乳がん患者を対象とした日本を含むグローバルでの第2相臨床試験(DESTINY-Breast0)の結果に基づく。エンハーツは抗体薬物複合体(ADC)であり、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高める。
第一三共は「本剤を通じて、がん治療における新たな選択肢を提供することで、患者さんに貢献できるものと期待しております」と述べている。
参照元:
第一三共株式会社 ニュースリリース
×