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小児ハイリスク成熟B細胞非ホジキンリンパ腫に対するリツキサン+LMB化学療法、3年無イベント生存期間を統計学有意に改善

この記事の3つのポイント
・小児のハイリスク成熟B細胞非ホジキンリンパ腫患者が対象の第3相試験
リツキサン+LMB療法の有効性安全性を検証
・リツキサン上乗せ群の3年無イベント生存率は93.9%で統計学的有意に改善

2020年6月4日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にてハイリスクのある成熟B細胞非ホジキンリンパ腫小児患者に対する抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ(商品名リツキサン;以下リツキサン)+短期集中型化学療法(LMB療法)群の有効性、安全性を比較検証した第3相試験(NCT01516580)の結果がInstitut de Cancérologie Gustave RoussyVéroniqueのMinard-Colin氏らにより公表された。

本試験は、ハイリスクのある成熟B細胞非ホジキンリンパ腫小児患者(N=328人)をリツキサン+LMB療法を投与する群(N=164人)とLMB療法のみを投与する群(N=164人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無イベント生存期間(EFS)、副次評価項目として全生存期間OS)をとして、リツキサンの上乗せ効果を比較検証した国際多施設共同非盲検下の第3相試験である。

成人のB細胞リンパ腫に対しては化学療法に抗CD20モノクローナル抗体リツキサンを上乗せすることで全生存期間(OS)を改善することが示されている。しかしながら、ハイリスクのある成熟B細胞非ホジキンリンパ腫小児患者に対してはリツキサンの上乗せ効果を証明する臨床データが限られているため本試験が開始された。

本試験のフォローアップ期間中央値39.9ヵ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である3年無イベント生存率(EFS)はリツキサン+LMB療法群93.9%(95%信頼区間:89.1%-96.7%)に対してLMB療法群82.3%(95%信頼区間:75.7%-87.5%)、リツキサン+LMB療法群で無イベント生存(EFS)のリスクを68%(HR:0.32,95%信頼区間:0.15-0.66,P=0.00096)統計学的有意に改善した。

安全性として、グレード4以上の有害事象(AE)発症率はリツキサン+LMB療法群33.3%に対してLMB療法群24.2%(P=0.07)を示し、主な有害事象(AE)は発熱性好中球減少症(FN)、感染症であった。

以上の第3相試験の結果よりMinard-Colin氏らは「ハイリスクのある成熟B細胞非ホジキンリンパ腫小児患者に対するリツキサン+LMB療法は、無イベント生存期間(EFS)を統計学有意に改善しました」と結論を述べている。

Rituximab for High-Risk, Mature B-Cell Non-Hodgkin’s Lymphoma in Children(N Engl J Med
. 2020 Jun 4;382(23):2207-2219. doi: 10.1056/NEJMoa1915315.)

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