・再発または転移性腺様嚢胞がん患者が対象の第2相試験
・インライタ単剤療法の有効性・安全性を検証
・インライタ単剤療法の6ヶ月無増悪生存率73.2%、無増悪生存期間10.8ヶ月で観察群に対し有意に改善
2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にて再発転移性腺様嚢胞がん患者に対するチロシンキナーゼ阻害薬であるアキシチニブ(商品名インライタ;以下インライタ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02859012)の結果がSeoul National University HospitalのBhumsuk Keam氏らにより公表された。
本試験は、再発または転移性腺様嚢胞がん患者(N=60人)を1日2回インライタ5mg単剤療法を投与する群(N=30人)と経過観察する群(N=30人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として6ヵ月無増悪生存率(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)などを比較検証した第2相試験。
再発または転移性腺様嚢胞がんは細胞障害性抗がん剤に対して応答性が不十分である。一方、いくつかの血管新生阻害薬は第2相試験にて抗腫瘍効果を示している。そのためチロシンキナーゼ阻害薬であるインライタ単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値25.4ヵ月時点において、主要評価項目である6ヵ月無増悪生存率(PFS)はインライタ群73.2%(95%信頼区間:54.8%-88.1%)に対して経過観察群23.2%(95%信頼区間:9.3%-41.1%)であった。インライタ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを81%(HR:0.19,95%信頼区間:0.08-0.45,P<0.001)減少した。
また、副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はインライタ群10.8ヵ月に対して経過観察群2.8ヵ月(P<0.001)を示した。
客観的奏効率(ORR)はインライタ群3.3%(95%信頼区間:0.1%-17.2%)に対して経過観察群0%(95%信頼区間:0%-12.8%)、病勢コントロール率はインライタ群100%(95%信頼区間:88.4%-100%)に対して経過観察群51.9%(95%信頼区間:32.0%-71.3%)を示した。全生存期間(OS)中央値はインライタ群未到達に対して経過観察群28.5ヵ月(P=0.688)を示した。
安全性として、インライタ群で最も多くの患者で確認されたグレード1~2の有害事象(AE)は口腔粘膜炎および疲労であった。
以上の結果よりBhumsuk Keam氏らは「再発転移性腺様嚢胞がん患者に対するチロシンキナーゼ阻害薬インライタ単剤療法は、経過観察群に比べて6ヵ月無増悪生存率(PFS)を統計学的有意に改善しました」と結論を述べている。