・プラチナ製剤抵抗性のある高悪性度漿液性卵巣がん患者が対象の第2相試験
・ベルゾセルチブ+ジェムザール併用療法の有効性・安全性を比較検証
・無増悪生存期間がジェムザール単剤群14.7週に対し併用療法は22.9週へ延長
2020年6月15日、医学誌『The Lancet Oncology』にてプラチナ製剤抵抗性のある高悪性度漿液性卵巣がん患者に対するATR阻害薬であるベルゾセルチブ+ゲムシタビン(商品名ジェムザール;以下ジェムザール)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02595892)の結果がDana-Farber Cancer Instituteのanagiotis A Konstantinopoulos氏らにより公表された。
本試験は、適格と評価されたプラチナ製剤抵抗性のある高悪性度漿液性卵巣がん患者88人のうち70人を、21日を1サイクルとして2,9日目にベルゾセルチブ210mg/m2+1,8日目にジェムザール1000mg/m2併用療法を投与する群(N=34人)と21日を1サイクルとして1,8日目にジェムザール1000mg/m2単剤療法を投与する群(N=36人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、安全性などを検証した多施設共同非盲検下の第2相試験である。
本試験の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はベルゾセルチブ+ジェムザール併用群22.9週(90%信頼区間:17.9-72.0週)に対してジェムザール単剤群14.7週(90%信頼区間:9.7-36.7週)、ベルゾセルチブ+ジェムザール併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを43%(HR:0.57,90%信頼区間:0.33-0.98,P=0.044)減少した。
安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3~4の有害事象(AE)である好中球数減少はベルゾセルチブ+ジェムザール併用群47%に対してジェムザール単剤群39%、血小板数減少はベルゾセルチブ+ジェムザール併用群24%に対してジェムザール単剤群6%を示した。また、重篤な有害事象(AE)発症率はベルゾセルチブ+ジェムザール併用群26%に対してジェムザール単剤群28%、治療関連有害事象(TRAE)による死亡はベルゾセルチブ+ジェムザール併用群、ジェムザール単剤群それぞれ1人の患者で確認された。
以上の結果よりPanagiotis A Konstantinopoulos氏らは「プラチナ製剤抵抗性のある高悪性度漿液性卵巣がん患者に対するジェムザールにATR阻害薬であるベルゾセルチブを上乗せすることで良好な抗腫瘍効果を示すことが本試験で確認されました」と結論を述べている。