6月30日、中外製薬株式会社(以下中外製薬)は再発または難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対して抗CD79b抗体薬物複合体ポラツズマブ ベドチンの製造販売承認を厚生労働省に申請したと発表した。
未治療のDLBCLの標準療法であるリツキシマブと化学療法の併用療法を行っても約40%の患者で再発が見られる。また、再発または難治性のDLBCLの治療として自家造血幹細胞移植が推奨されるが、約半数はその前の救援化学療法が奏功せず移植が行えない。また、年齢や合併症により移植の適応とならない患者への標準治療はないのが原稿である。そのためアンメットメディカルニーズの高い疾患の一つである。
今回の申請は、再発または難治性のDLBCLはを対象にポラツズマブ ベドチン、ベンダムスチン、リツキシマブ(BR療法)との併用療法についての有効性、安全性を検討した国内第2相試験(P-DRIVE試験)と海外第1b/2相試験(GO29365試験)などの結果に基づく。
未治療のDLBCLを対象にポラツズマブ ベドチンにリツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+プレドニゾロン(R-CHP)併用療法とリツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾロン(R-CHOP)療法の有効性、安全性を比較検討する国際第3相試験(POLARIX試験)が実施中。
中外製薬代表取締役社長の奥田修氏は「リツキサン、ガザイバに続く血液がんフランチャイズでの抗体医薬品であり、新規の作用機序を有する抗体薬物複合体である本剤をいち早く患者さんへお届けし、より良い治療の実現に貢献できるよう引き続き尽力して参ります」と述べている。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)について
非ホジキンリンパ腫の中で30~40%を占める一番患者数の多いサブタイプであり、月単位で進行する中悪性度の疾患。60歳代で多く発症する。未治療のDLBCLに対する標準療法はリツキシマブ+化学療法。標準治療後の約40%の患者で再発が見られる。
ポラツズマブ ベドチンとは
ヒト化抗CD79bモノクローナル抗体とチューブリン重合阻害剤を結合させた抗体薬物複合体(ADC)。CD79bタンパクは多くのB細胞で特異的に発現している。ポラツズマブ ベドチンは正常細胞への影響を抑えながらCD79bに結合し、化学療法によりB細胞を破壊すると考えられている。米国では2019年6月に迅速承認を受けている。
参照元:
中外製薬株式会社 プレスリリース