・ハイリスク多発性骨髄腫患者が対象の第2相試験
・イサツキシマブ+カルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法の有効性・安全性を比較検証
・中間分析において客観的奏功率100%、微小残存病変陰性率67%を示した
2020年6月11日~14日、バーチャルミーティングで開催された第25回欧州血液学会議(EHA 2020)にてハイリスク多発性骨髄腫患者に対するファーストライン治療としての抗CD38抗体薬であるイサツキシマブ+カルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(ISA-KRD)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験の中間分析結果がUniversity Cancer Center HamburgのKatja Weisel氏らにより公表された。
なお、本試験におけるハイリスクの定義はdel17pまたはt(4;14)またはt(14;16)、もしくは1q21+ISS分類ステージII~IIIの患者背景を有する多発性骨髄腫患者である。
本試験は、ハイリスクの定義に当てはまる多発性骨髄腫患者(N=153人)に対して導入療法としてイサツキシマブ+カルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法を6サイクル、コンソリデーション療法としてイサツキシマブ+カルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法を4サイクル、維持療法としてイサツキシマブ+カルフィルゾミブ+レナリドミド併用療法を投与し、主要評価項目としてMRD(微小残存病変)陰性率を検証した試験である。
なお、造血幹細胞移植適応のある患者に対しては高用量化学療法(Arm A)、造血幹細胞移植適応のない患者に対しては導入療法を2サイクル追加(Arm B)している。
本試験の結果、客観的奏効率(ORR)100%を示し、その内訳としては部分奏効率(PR)10.0%、最良部分奏効率(VGPR)44.0%、完全奏効率(CR)46.0%であった。そして、主要評価項目であるMRD(微小残存病変)陰性率は67%(N=20/30人)を示した。
安全性として、10%以上の患者で確認されたグレード3~4の血液関連治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症34.0%、白血球減少症26.0%、血小板減少症14.0%。グレード3~4の非血液関連治療関連有害事象(TRAE)は高血圧12.0%、感染8.0%を示した。
以上の第2相試験の結果よりKatja Weisel氏ら「ハイリスク多発性骨髄腫患者に対するイサツキシマブ+カルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法は深い奏効を達成、MRD(微小残存病変)陰性率も高率でした。一方、安全性に関しても既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致しており、新しく確認された有害事象(AE)はなかった」と結論を述べている。