6月29日、ノバルティスファーマ株式会社(以下ノバルティス)は、タブレクタ(一般名カプマチニブ塩酸塩水和物、以下タブレクタ)錠150mg/200mgをMET遺伝子エクソン14スキッピング(METex14)変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する治療薬として、製造販売承認を取得したと発表した。
MET遺伝子変異は、MET経路の制御異常が、腫瘍細胞の増殖、生存、浸潤、転移、ならびに腫瘍血管新生を促進すると言われている。タブレクタはMETに選択的な阻害剤で、NSCLCの発がんドライバー因子の1つであるMETex14変異に対しても活性を有する。
今回の承認は、MET遺伝子増幅またはMETex14変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんにタブレクタ単剤療法の有効性と安全性を検討した国際共同第2相試験(GEOMETRY mono-1試験)の結果に基づく。
今回の承認について、ノバルティスオンコロジージャパンのプレジデントであるブライアングラッツデンは「近年、遺伝子検査の技術が進み、多くのがん患者さんのがんの原因となるドライバー遺伝子が特定されるようになった一方で、遺伝子変異が特定されたにも関わらず、その遺伝子を標的とした治療法がない患者さんがいます。『タブレクタ』の承認により、METex14変異陽性の非小細胞肺がん患者さんにより適した標的療法を提供すると同時に、患者さんの人生に貢献できることを大変嬉しく思います」と述べている。
なお、MET遺伝子ex14変異は、タブレクタのコンパニオン診断薬として「FoundationOne CDxがんゲノムプロファイル」(中外製薬株式会社)を用いて検出される。
MET遺伝子エクソン14スキッピング(METex14)変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)について
非小細胞肺がん患者の約3~4%がMET遺伝子変異を有し、METex14変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者数は日本で約3000名と推定されている。METex14変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLCは予後不良な疾患であり、治療選択肢が限定的である。
GEOMETRY mono-1試験について
MET遺伝子増幅またはMETex14変異を有する切除不能な進行・再発のNSCLC患者を対象にタブレクタ400mgを1日2回投与し、主要評価項目は奏効率、副次評価項目は奏功期間で評価した。奏効率は化学療法歴のない患者(N=28人)で68%、化学療法歴のある患者(N=69人)で41%、奏功期間は化学療法歴のない患者で12.6ヶ月、化学療法歴のある患者で9.7ヶ月を示した。