・脳転移のあるHER2陽性局所進行性/転移性乳がん患者が対象の第3b相試験
・カドサイラ単剤療法の有効性・安全性を検証
・最良奏効率は21.4%、臨床的有効割合は42.9%を示した
2020年7月4日、医学誌『Annals of Oncology』にて脳転移のあるHER2陽性局所進行性/転移性乳がん患者に対する抗HER2抗体チューブリン重合阻害剤複合体トラスツズマブエムタンシン(T-DM1、商品名カドサイラ;以下カドサイラ)単剤療法の有効性、安全性を検証した3b相のKAMILLA試験(NCT01702571)の結果がDay Hospital Oncologico MultidisciplinareのF. Montemurro氏らにより公表された。
KAMILLA試験とは、脳転移のあるHER2陽性局所進行性/転移性乳がん患者(N=126人)に対して3週を1サイクルとしてカドサイラ3.6mg/kg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与し、主要評価項目として最良奏効率(BOR:完全奏効+部分奏効)、臨床的有効割合(CBR:完全奏効+部分奏効+病勢安定6ヶ月以上)などを検証した。
本試験の結果、主要評価項目である最良奏効率(BOR)は21.4%(95%信頼区間:14.6–29.6%)、臨床的有効割合(CBR)は42.9%(95%信頼区間:34.1–52.0%)を示した。また、脳転移のある患者における30%以上の腫瘍縮小率は42.9%(95%信頼区間:34.1–52.0%)であった。
無増悪生存期間(PFS)中央値は5.5ヶ月(95%信頼区間:5.3–5.6ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は18.9ヶ月(95%信頼区間:17.1–21.3ヶ月)を示した。
安全性として、中枢神経系(CNS)関連の有害事象(AE)は脳転移のある患者群52.3%、脳転移のない患者群43.7%で確認されるも、その他の有害事象(AE)において脳転移の有無による違いは確認されなかった。
以上の3b相のKAMILLA試験の結果よりF. Montemurro氏らは「脳転移のあるHER2陽性局所進行性/転移性乳がん患者に対する抗HER2抗体チューブリン重合阻害剤複合体カドサイラ単剤療法は良好な抗腫瘍効果を示し、忍容性も問題ありませんでした」と結論を述べている。