8月21日、MSD株式会社は抗PD-1抗体であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)について、国内製造販売承認事項の一部変更の承認を取得したと発表した。追加となったのは、がん化学療法後に増悪したPD-L1陽性の根治切除不能な進行・再発の食道扁平上皮がんに対する効能・効果と、「1回400mgを6週間間隔で30分間かけて点滴静注する」という用法・用量。
食道がんは、主に扁平上皮がんと腺がんに大別され、日本人では推定患者数は23,000人で、そのほとんどが扁平上皮がんである。最も進行した浸潤・遠隔転移の食道がんでは5年生存率が約13%であり、新たな治療手段が期待されている。
今回の適応追加の承認はKEYNOTE-181試験の結果に基づく。一次治療として標準的な化学療法歴があり、根治切除不能な進行・再発の食道扁平上皮がんおよび食道腺がん患者(N=628人)に二次治療として、キイトルーダ単独療法と化学療法(パクリタキセル、ドセタキセル、イリノテカン)と比較検討した第3相国際共同試験。そのうち、PD-L1陽性であり、扁平上皮がんの患者(N=167人)でキイトルーダ単独療法群が全生存期間を延長し、死亡リスクを36%減少した(HR=0.64、95%信頼区間(CI)0.46-0.90)。
また用法・用量の追加については、薬物動態シミュレーション、曝露量と有効性または安全性との関係に基づいて検討した結果である。従来キイトルーダが既に取得しているすべての適応において、単独投与、併用療法問わず、1回200mgを3週間間隔で30分かけて点滴静注する場合と明らかな差異がないことが予測され、1回400mgを6週間間隔で30分間かけて投与が新規の用法・用量として追加となった。
キイトルーダは、現在世界で30種類以上のがん腫で1200以上の臨床試験が行われている。MSDは「重点分野と位置付けるがん領域で患者さんと医療従事者のニーズに応えていけるよう、革新的な医薬品の開発に引き続き取り組んでいきます」と述べている。
キイトルーダについて
T細胞に発現するPD-1とそのリガンドであり、腫瘍細胞に発現するPD-L1とPD-L2の相互作用を阻害する。キイトルーダはPD-1に結合し、受容体とリガンドが結合するのを阻止することにより、T細胞でのPD-1経路を用いた免疫抑制経路を解除するため、腫瘍の増殖を制御する。
参照元:
MSD株式会社 ニュースリリース