免疫療法として初めて肝細胞がんに対する有効性を示した併用療法
9月25日、中外製薬株式会社は抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体のテセントリク(一般名:アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、以下テセントリク)と抗VEGFヒト化モノクローナル抗体のアバスチン(一般名:ベバシズマブ(遺伝子組換え)、以下アバスチン)の2剤が切除不能な肝細胞がん(HCC)に対する適応の承認を取得したと発表した。
HCCは、主にB型/C型肝炎による肝硬変、アルコール性肝炎から進展し、がんとなる。日本では約4万人/年が肝臓がんに新規罹患し、約2万8千人が死亡している。HCCは肝臓がんの9割以上を占め、予後不良かつ全身薬物療法の選択肢は限定的であるため1年生存率は50%以下である。
今回の承認は、全身薬物療法未施行の切除不能HCC患者501名を対象にテセントリクとアバスチンの併用療法をソラフェニブ単剤と比較検証した第3相IMbrave150試験の結果に基づく。同試験においてテセントリクとアバスチン併用療法が死亡リスクを42%、病勢進行または死亡リスクを41%減少し、全生存期間、無増悪生存期間を統計学的有意に延長した。
なお、今回の承認により、テセントリクとアバスチンはHCCに対して承認を得た初めてのがん免疫療法となる。
代表取締役社長COOの奥田修氏は、「予後不良かつ治療選択肢の限られたHCCに対し、テセントリクとアバスチンの併用療法が承認されたことを大変嬉しく思います」と述べるとともに、「がん免疫療法として初めてHCCに対する有効性を示した本治療を患者さんにお届けできることに喜びと責任を感じています。HCC治療への貢献を目指し、引き続き迅速な適正使用情報の提供に努めてまいります」と語っている。
添付文書情報(※関係部分を抜粋)
販売名:テセントリク
一般名:アテゾリズマブ(遺伝子組換え)
効能または効果:切除不能な肝細胞がん
用法および用量:ベバシズマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはアテゾリズマブ(遺伝子組換え)として1回1200mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
販売名:アバスチン
一般名:ベバシズマブ(遺伝子組換え)
効能または効果:切除不能な肝細胞がん
用法および用量:アテゾリズマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはベバシズマブ(遺伝子組換え)として1回15 mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。投与間隔は3週間以上とする。
IMbrave150試験について
全身薬物療法を行っていない切除不能肝細胞がん患者(N=501人)をテセントリクとアバスチン併用療法、ソラフェニブ単剤療法に2:1で割り付け、主治医判定により病勢進行または容認できない毒性の出現まで投与を行った。主要評価項目は全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は奏効率(ORR)、病勢進行までの期間(TTP)、奏効期間(DOR)などである。
参照元:
中外製薬株式会社 ニュースリリース