・術前補助化学放射線療法および外科的完全切除後の食道がんまたは胃食道接合部がん患者が対象の第3相試験
・術後補助療法としてのオプジーボ単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・無病生存期間は22.4ヶ月で、プラセボ群に対して病勢進行または死亡リスクを31%減少した
2020年9月19日~2020年9月21日、バーチャルミーティングにて開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)にて術前補助化学放射線療法(CRT)および外科的完全切除後の食道がんまたは胃食道接合部(GEJ)がん患者に対する術後補助療法としての抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCheckMate-577試験(NCT02743494)の結果がSammons Cancer Center at Baylor University Medical CenterのRonan Kelly氏らにより公表された。
CheckMate-577試験とは、術前補助化学放射線療法(CRT)および外科的完全切除後の食道がんまたは胃食道接合部(GEJ)がん患者(N=794人)に対して2週を1サイクルとしてオプジーボ240mg単剤療法を16週間投与し、その後4週を1サイクルとしてオプジーボ480mg単剤療法を投与する群(N=532人)、またはプラセボ療法を投与する群(N=262人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無病生存期間(DFS)を比較検証した多施設無作為化二重盲検の第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である無病生存期間(DFS)中央値はオプジーボ群22.4ヶ月に対してプラセボ群11.0ヶ月と、オプジーボ群で病勢進行または死亡(DFS)のリスクを31%(HR:0.69、96.4%信頼区間:0.56-0.86、P=0.0003)統計学的有意に改善した。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ群71%に対してプラセボ群46%。グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ群13%に対してプラセボ群6%。治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率はオプジーボ群9%に対してプラセボ群3%。
以上のCheckMate-577試験の結果よりRonan Kelly氏らは「術前補助化学放射線療法(CRT)および外科的完全切除後の食道がんまたは胃食道接合部(GEJ)がん患者に対する術後補助療法として、抗PD-1抗体薬オプジーボは主要評価項目である無病生存期間(DFS)を統計学的有意に改善した最初の治療方法です。オプジーボが術前補助療法として新たな標準治療として確立される可能性もあります」と結論を述べている。