10月27日、小野薬品工業株式会社と武田薬品工業株式会社は、オプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)点滴静注とカボメティクス(一般名:カボザンチニブリンゴ酸塩、以下カボメティクス)錠が根治切除不能または転移性の腎細胞がんに対し、両製剤の併用療法で適応拡大承認の申請を行ったと発表した。
腎細胞がんは腎がんの中で最も患者数が多く、腎がんの約90%を占めている。腎がんは世界で年間約40.3万人が新規に罹患し、死亡者数は約17.5万人と推定されている。日本においては年間約2.4万人が新規に罹患し、約8260人が亡くなっている。
今回の承認申請は、未治療の進行性または転移性の腎細胞がん患者を対象に実施した多施設国際共同無作為化非盲検第3相試験であるCheckMate-9ER試験の結果に基づいている。同試験ではオプジーボ+カボメティクス併用療法とスニチニブ単剤療法を比較検討し、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)、ならびに中間解析の副次評価項目である全生存期間(OS)、および奏効率(ORR)の改善を示した。また、オプジーボ+カボメティクス併用療法の安全性プロファイルは、それぞれ単剤で投与したこれまでの報告と一致していた。
オプジーボとは
オプジーボは免疫チェックポイント阻害薬の一種であり、programmed cell death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1阻害薬。オプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得したから複数のがん腫において重要な治療選択肢となっている。現在食道胃接合部がん、小細胞肺がん、肝細胞がん、膠芽腫、尿路上皮がん、卵巣がん、膀胱がん、膵がん、胆道がんなどを対象に臨床試験が行われている。
カボメティクスとは
カボメティクスは、血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR2)、肝細胞増殖因子受容体(MET)、AXL等のキナーゼに対する阻害作用を有する低分子化合物。同剤は、VEGFR2等を介したシグナル伝達を阻害することで、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。日本では、根治切除不能又は転移性の腎細胞がんに対する治療薬として発売されている。米国では、進行性腎細胞がんの治療およびソラフェニブ治療後の肝細胞がんの治療の適応で承認されており、日本においても、2020年1月にがん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞がんに対する治療薬として製造販売承認申請を行った。
CheckMate-9ER試験とは
未治療の進行性または転移性腎細胞がん患者が対象の第3相試験。2週間ごとにオプジーボ240mg+1日1回カボメティクス40mgの併用療法群と1日1回スニチニブ50mgを4週間経口投与し2週間休薬する単剤療法群に1:1で割り付け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、奏効率(ORR)を評価した。
参照元:
小野薬品工業株式会社 ニュースリリース