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再発/難治性多発性骨髄腫に対するダラザレックス+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法、無増悪生存期間を統計学的有意に改善

この記事の3つのポイント
・再発/難治性多発性骨髄腫患者が対象の第3相試験
・ダラザレックス+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法有効性安全性を比較検証
無増悪生存期間は12.4ヵ月でダラザレックス非投与群に対して統計学的有意に延長

2020年12月5日~8日、オンラインミーティングで開催された第62回米国血液学会議(ASH 2020)にて再発/難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対する抗CD38抗体であるダラザレックス(一般名:ダラツムマブ、以下ダラザレックス)皮下注射+ポマリドミド(商品名ポマリスト;以下ポマリスト)+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のAPOLLO試験(NCT03180736)の結果がNational and Kapodistrian University of AthensのMeletios A. Dimopoulos氏らにより公表された。

APOLLO試験とは、再発/難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対して28日を1サイクルとして1、2サイクル目は1週間間隔、3~4サイクル目は2週間間隔、4サイクル目以降は4週間間隔でダラザレックス16mg/kg皮下注+1~21日目にポマリスト4mg+1、8、15、22日目にデキサメタゾン40mg併用療法を投与する群、または28日を1サイクルとして1~21日目にポマリスト4mg+1、8、15、22日目にデキサメタゾン40mg併用療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、重要な副次評価項目として客観的奏効率ORR)、全生存期間OS)、安全性などを比較検証した国際多施設共同オープンラベルの第3相試験である。

本試験に登録された304人の年齢中央値は67歳(35~90歳)。ISS分類はステージIが45%、ステージIIが33%、ステージIIIが22%。染色体異常ハイリスク(del17p, t[14;16], or t[4;14])は35%。前治療歴中央値は2(1~5)レジメン耐性歴はレナリドミド79.6%、プロテアソーム阻害薬48.0%、両剤42.4%。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS) 中央値はダラザレックス+ポマリスト+デキサメタゾン併用群12.4ヶ月に対してポマリスト+デキサメタゾン併用群6.9ヶ月、ダラザレックス+ポマリスト+デキサメタゾン併用群で、病勢進行または死亡(PFS)のリスクを37%(HR:0.63、95%信頼区間:0.47-0.85、P=0.0018)統計学的有意に減少した。

副次評価項目である死亡(OS)のリスクはダラザレックス+ポマリスト+デキサメタゾン併用群で9%(HR:0.91、95%信頼区間:0.61-1.35)減少した。完全奏効率(CR)はダラザレックス+ポマリスト+デキサメタゾン併用群24.5%に対してポマリスト+デキサメタゾン併用群3.9%、最良部分奏効率(VGPR)はダラザレックス+ポマリスト+デキサメタゾン併用群51.0%に対してポマリスト+デキサメタゾン併用群19.6%を示した。

一方の安全性として、ダラザレックス投与群と非投与群で5%以上の差があった有害事象(AE)は下記の通りである。好中球減少症はダラザレックス+ポマリスト+デキサメタゾン併用群68%に対してポマリスト+デキサメタゾン併用群51%、白血球減少症は17%に対して5%、リンパ球減少症は12%に対して3%、発熱性好中球減少症は9%に対して3%、肺炎は13%に対して7%。また、ダラザレックス皮下注射のインフュージョンリアクション発症率は低率で低グレード(6%、グレード1~2)であり、投与時間中央値は5分であった。

以上のAPOLLO試験の結果よりMeletios A. Dimopoulos氏らは「再発/難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対する抗CD38抗体ダラザレックス+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法は、ポマリスト+デキサメタゾン併用療法に比べて無増悪生存期間(PFS) を統計学的有意に改善しました。また、ダラザレックスは皮下注射によりインフュージョンリアクション発症率は低減し、治療時間も短縮され、患者さんにとって利便性が向上する治療レジメンでした」と結論を述べている。

Phase 3 Randomized Study of Subcutaneous Daratumumab Plus Pomalidomide and Dexamethasone (D-Pd) Versus Pomalidomide and Dexamethasone (Pd) Alone in Patients (Pts) with Relapsed/Refractory Multiple Myeloma (RRMM)(62nd ASH Annual Meeting & Exposition,Abstract 412)

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