・EGFR遺伝子変異陽性ステージII/IIIA非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・術後化学療法としてのイレッサ単剤の有効性・安全性を比較検証
・無病生存期間は30.8ヵ月を示し、標準療法の19.8ヵ月に対して統計学的有意に延長
2020年12月17日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて切除後のEGFR遺伝子変異陽性ステージII/IIIA非小細胞肺がん患者に術後化学療法としてEGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるイレッサ(一般名:ゲフィチニブ、以下イレッサ)単剤療法の有効性、安全性をVP療法(ビノレルビン+シスプラチン)と比較検証した第3相のADJUVANT-CTONG1104試験(NCT01405079)の結果がGuangdong Lung Cancer InstituteのWen-Zhao Zhong氏らにより公表された。
ADJUVANT-CTONG1104試験とは、切除後のEGFR遺伝子変異陽性ステージII/IIIA非小細胞肺がん患者に対して1日1回イレッサ250mg単剤療法を投与する群(N=111人)、または3週を1サイクルとして1、8日目にビノレルビン25mg/m2+1日目にシスプラチン75mg/m2併用療法を投与する群(N=111人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無病生存期間(DFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)などを比較検証した第3相試験である。
本試験の主要評価項目である無病生存期間(DFS)はイレッサ単剤群30.8ヵ月(95%信頼区間:26.7-36.6)に対してVP療法群19.8ヵ月(95信頼区間:15.4-20.3)で統計学的有意に延長した(HR:0.56、95%信頼区間:0.40-0.79、P=0.001)。3年無病生存率(DFS)はイレッサ単剤群39.6%に対してVP療法群32.5%、5年無病生存率(DFS)はイレッサ単剤群22.6%に対してVP療法群23.2%をそれぞれ示した。
フォローアップ期間中央値80.0ヶ月時点における副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はイレッサ単剤群75.5ヶ月に対してVP療法群62.8ヶ月、イレッサ単剤群で死亡(OS)のリスクを8%減少(HR:0.92、95%信頼区間:0.62-1.36、P=0.674)した。また、5年全生存率(OS)はイレッサ単剤群53.2%に対してVP療法群51.2%を示した。
以上のADJUVANT-CTONG1104試験の結果よりWen-Zhao Zhong氏らは「切除後のEGFR遺伝子変異陽性ステージII/IIIA非小細胞肺がん患者に対する術後化学療法としてのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬イレッサ単剤療法は、標準療法に比べて無病生存期間(DFS)を改善しました。しかしながら、その効果は全生存期間(OS)の改善にまでは発展しませんでした」と結論を述べている。