2月18日、小野薬品工業株式会社は、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)について、食道がんの術後補助(アジュバンド)療法としての適応拡大の申請を行ったと発表した。
食道がんは、主に扁平上皮がんと腺がんの2つに分類され、日本では、約90%が扁平上皮がんである。日本における新規罹患数は2.6万人/年、死亡者数は1.2万人/年。遠隔転移を有さない切除可能な局所進行食道がんに対する治療として、術前補助療法後に根治切除を行うのが一般的だが、根治切除後の28~47%に再発が認められ、再発後の予後は不良と報告されている。そのため再発抑制を目的とした術後補助療法への医療ニーズは高い。
今回の承認申請は、CheckMate-577(ONO-4538-43)試験の結果に基づくもの。同試験は、術前補助化学放射線療法(CRT)を受け、病理学的に完全奏効が得られなかった食道がんまたは食道胃接合部がん切除後患者を対象に、術後補助療法としてオプジーボ単剤療法を行い、有効性と安全性をプラセボと比較検証した第3相試験である。
同試験では、主要評価項目である無病生存期間(DFS)はオプジーボ群で22.4カ月(95%信頼区間:16.6-34.0)、プラセボ群で11.0カ月(95%信頼区間:8.3-14.3)であり、統計学的に有意な延長を認めた(HR:0.69、96.4%CI:0.56-0.86、P=0.0003)。また、安全性プロファイルはこれまでに認められているものと一貫していた。
なお、オプジーボについては、食道胃接合部がん、肝細胞がん、尿路上皮がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、膵がん、胆道がん等を対象とした臨床試験も実施中である。
オプジーボとは
免疫チェックポイントの1つであるprogrammed death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化する免疫チェックポイント阻害薬。日本では2014年7月に悪性黒色腫の承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっている。