・未治療の進行/転移性腎細胞がん患者が対象の第3相試験
・オプジーボ+カボメティクス併用療法の有効性・安全性をスニチニブと比較検証
・無増悪生存期間16.6ヶ月と延長を示した他、全生存率、客観的奏効率を改善した
2021年3月4日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて未治療の進行/転移性腎細胞がん(RCC)患者に対する抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+マルチキナーゼ阻害薬であるカボメティクス(一般名:カボザンチニブ、以下カボメティクス)併用療法の有効性、安全性を検証した第3相のCheckMate-9ER試験(NCT03141177)の結果がDana-Farber Cancer InstituteのToni Choueiri氏らにより公表された。
CheckMate-9ER試験とは、未治療の進行/転移性腎細胞がん(RCC)患者(N=651人)に対して2週を1サイクルとしてオプジーボ240mg+1日1回カボメティクス40mg併用療法を投与する群(N=323人)、または1日1回スニチニブ50mg単剤療法を4週間投与後、2週間休薬する群(N=328人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)などを比較検証した多国籍共同無作為化非盲検第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値18.1ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はオプジーボ+カボメティクス併用群16.6ヶ月(95%信頼区間:12.5-24.9ヶ月)に対してスニチニブ単剤群8.3ヶ月(95%信頼区間:7.0-9.7ヶ月)、オプジーボ+カボメティクス併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを49%減少(HR:0.51、95%信頼区間:0.41-0.64、P<0.001)した。
副次評価項目である12ヶ月全生存率(OS)はオプジーボ+カボメティクス併用群85.7%(95%信頼区間:81.3-89.1%)に対してスニチニブ単剤群75.6%(95%信頼区間:70.5-80.0%) 、オプジーボ+カボメティクス併用群で死亡(OS)のリスクを40%減少(HR:0.60、98.89%信頼区間:0.40-0.89、P=0.001)した。
客観的奏効率(ORR)はオプジーボ+カボメティクス併用群55.7%に対してスニチニブ単剤群27.1%(P<0.001)を示した。一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はオプジーボ+カボメティクス併用群75.3%に対してスニチニブ単剤群70.6%を示した。全体ではオプジーボ+カボメティクス併用群の19.7%が有害事象により少なくとも1剤を投与中止し、5.6%は2剤とも中止した。
以上のCheckMate-9ER試験の結果よりToni Choueiri氏らは「未治療の進行/転移性腎細胞がん(RCC)患者に対する抗PD-1抗体薬オプジーボ+マルチキナーゼ阻害薬カボメティクス併用療法は、スニチニブ単剤療法に比べて無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)において臨床的意義のある改善効果を示しました」と結論を述べている。