がん情報サイト「オンコロ」

再発/転移性子宮頸がんに対するセミプリマブ単剤療法、全生存期間を統計学的有意に改善し臨床試験の早期中止へ

この記事の3つのポイント
・再発/転移性子宮頸がん患者が対象の第3相試験
・セミプリマブ単剤療法有効性安全性を比較検証
全生存期間12.0ヶ月を示し、化学療法群に対して統計学的有意に延長を認めたため、
 試験は早期中止となった

2021年3月15日、仏サノフィ社のプレスリリースにて治療歴のある再発/転移性子宮頸がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるセミプリマブ(商品名:Libtayo)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相試験の結果が公表された。

本試験は、治療歴のある再発/転移性子宮頸がん患者に対して3週を1サイクルとしてセミプリマブ350mg単剤療法を投与する群(N=304人)、または治験医師選択の化学療法(ペメトレキセド、ビノレルビン、トポテカン、イリノテカン、ゲムシタビン)を投与する群(N=304人)に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した国際多施設共同ランダム化オープンラベルの第3相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である全患者群における全生存期間(OS)中央値は、セミプリマブ単剤群12.0ヶ月に対して治験医師選択の化学療法群8.5ヶ月、治験医師選択の化学療法に比べてセミプリマブ単剤群は死亡(OS)のリスクを31%(HR:0.69、95%信頼区間:0.56-0.84、P<0.001)統計学的有意に改善した。以上の結果より、独立データモニタリング委員会(IDMC)判断により本試験は早期中止が決定された。

扁平上皮がん群における全生存期間(OS)中央値は、セミプリマブ単剤群(N=239人)11.1ヶ月に対して治験医師選択の化学療法群(N=238人)8.8ヶ月、治験医師選択の化学療法に比べてセミプリマブ単剤群は死亡(OS)のリスクを27%(HR:0.73、95%信頼区間:0.58-0.91、P=0.003)改善した。

腺がん群における全生存期間(OS)中央値は、セミプリマブ単剤群(N=65人)13.3ヶ月に対して治験医師選択の化学療法群(N=66人)7.0ヶ月、治験医師選択の化学療法に比べてセミプリマブ単剤群は死亡(OS)のリスクを44%(HR:0.56、95%信頼区間:0.36-0.85、P<0.005)改善した。

一方の安全性として、全グレード有害事象(AE)発症率は、セミプリマブ単剤群88%に対して治験医師選択の化学療法群91%。重篤な有害事象(SAE)発症率は、セミプリマブ単剤群30%に対して治験医師選択の化学療法群27%を示した。

最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は下記の通りである。貧血がセミプリマブ単剤群25%に対して治験医師選択の化学療法群45%、吐き気がセミプリマブ単剤群18%に対して治験医師選択の化学療法群33%、疲労がセミプリマブ単剤群17%に対して治験医師選択の化学療法群16%、嘔吐がセミプリマブ単剤群16%に対して治験医師選択の化学療法群23%、便秘がセミプリマブ単剤群15%に対して治験医師選択の化学療法群20%。

サノフィ社とセミブリマブを共同開発している米リジェネロン社のオンコロジー部門トランスレーショナル&クリニカル・サイエンス担当シニア・バイス・プレジデントのIsrael Lowy氏は「再発/転移性の子宮頸がんは治療が難しいことで知られており、第一選択の化学療法後に承認された標準治療はありません。PD-L1ステータスに関係なく患者を登録した本試験では、Libtayoが再発/転移性子宮頸がんの患者の治療に役立つことが実証されました」と述べている。

参照元:
サノフィ社 プレスリリース

×
モバイルバージョンを終了