3月23日、エーザイ株式会社は、レミトロ点滴静注用300μg(一般名:デニロイキン ジフチトクス(遺伝子組換え)、以下レミトロ)について、「再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫」と「再発または難治性の皮膚T細胞性リンパ腫」を適応症として国内での製造売承認を取得したと発表した。
レミトロは抗がん剤の一種であり、インターロイキン-2(IL-2)とジフテリア毒素の部分配列からなる融合タンパク質。腫瘍細胞表面上のIL-2受容体と特異的に結合し、細胞内に移行したジフテリア毒素断片がタンパク質合成を阻害することで、細胞死を誘導し抗腫瘍効果を示す。同剤は、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で医療上の必要性が高い医薬品として評価され、2020年3月に製造販売承認申請を行っていた。
今回の承認は第2相試験(205試験)の結果に基づくもの。205試験は、再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)および皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)の患者を対象に、21日1サイクルとして、1~5日目にレミトロ9μg/kgを投与し、有効性と安全性を評価した、国内多施設共同非盲検単群試験である。同試験の結果、PTCLおよびCTCL患者(N=36人)において主要評価項目である奏効率(ORR)は、36.1%(95%信頼区間:20.8-53.8)であり、事前に設定した閾値奏効率を統計学的に有意に上回った。
エーザイは、「日本においてレミトロを再発または難治性のPTCLおよびCTCL治療の新たな選択肢としてお届けすることで、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります」と述べている。
末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)とは
PTCLは、T細胞非ホジキンリンパ腫の一種で、中悪性度に分類される。国内推定患者数は6000人未満。進行期になってから発見されることが多く、症状はリンパ節の腫れやしこり、発熱、大量の寝汗、体重減少などである。PTCLのうち、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性未分化大細胞リンパ腫は、20~30歳代で発症し、予後が良く治癒しやすいが、その他の病型では60歳前後に好発し、予後不良となる場合や治療が難しい場合があり、アンメット・メディカル・ニーズが非常に高い疾患の一つ。
皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)とは
CTCLは、さまざまな病型を持つ皮膚原発性の非ホジキンリンパ腫。一般的に悪性度は低い。国内推定患者数は4000人未満である。T細胞の一部ががん化することで、皮膚病変が起こり、疼痛や掻痒感など患者のQOL低下させる症状が出現する。CTCLは、緩徐に進行し、数年から十数年かけて腫瘍期へと進展する。腫瘍期に移行した場合は悪性度が高く、予後不良のため、依然としてアンメット・メディカル・ニーズが非常に高い。
参照元:
エーザイ株式会社 ニュースリリース