・再発リスクの高い筋層浸潤尿路上皮がん患者が対象の第3相試験
・術後療法としてのテセントリク単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・無病生存期間はテセントリクで19.4ヶ月、経過観察群で16.6ヶ月であったが、有意差は示せなかった
2021年3月12日、医学誌『The Lancet Oncology』にて再発リスクの高い筋層浸潤尿路上皮がん患者に対する術後療法としての抗PD-1抗体薬であるテセントリク(一般名:アテゾリズマブ、以下テセントリク)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のIMvigor010試験(NCT02450331)の結果がBeth Israel Deaconess Medical CenterのJoaquim Bellmunt氏らにより公表された。
IMvigor010試験とは、再発リスクの高い筋層浸潤尿路上皮がん患者(N=809人)に対する術後療法として3週を1サイクルとしてテセントリク1200mg単剤療法を16サイクルもしくは最大1年投与する群(N=406人)、または経過観察する群(N=403人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無病生存期間(DFS)を比較検証した多施設共同オープンラベルランダム化の第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値21.9ヶ月時点(IQR:13.2-29.8ヶ月)における結果は下記の通りである。主要評価項目である無病生存期間(DFS)中央値はテセントリク単剤群19.4ヶ月(95%信頼区間:15.9-24.8ヶ月)に対して経過観察群16.6ヶ月(95%信頼区間:11.2-24.8ヶ月)、テセントリク群で病勢進行または死亡(DFS)のリスクを11%(95%信頼区間:0.74-1.08、P=0.24)減少した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3または4の有害事象(AE)は尿路感染症でテセントリク単剤群に8%対して経過観察群で5%、腎盂腎炎でテセントリク単剤群3%に対して経過観察群で4%、貧血でテセントリク単剤群2%に対して経過観察群で2%。重篤な有害事象(SAE)発症率はテセントリク単剤群31%に対して経過観察群で18%を示した。
以上のIMvigor010試験の結果よりJoaquim Bellmunt氏らは「外科切除後の再発リスクの高い筋層浸潤尿路上皮がん患者に対する術後療法としての抗PD-1抗体薬テセントリク単剤療法は、経過観察群に比べて無病生存期間(DFS)を統計学的有意に改善しませんでした」と結論を述べている。