・低リスク骨髄異形成症候群の患者が対象の第3相試験
・経口用アザシチジンCC-486単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・56日以上の赤血球輸血非依存達成率はCC-486群31%に対してプラセボ群11%で統計学的有意に改善
2021年3月25日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて低リスクの骨髄異形成症候群(MDS)患者に対するDNAメチル化阻害薬であるCC-486(経口用アザシチジン)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相試験(NCT01566695)の結果がUniversity of Texas MD Anderson Cancer CenterのGuillermo Garcia-Manero氏らにより公表された。
本試験は、低リスクの骨髄異形成症候群(MDS)患者(N=216人)に対して28日を1サイクルとして1~21日目に1日1回CC-486(経口用アザシチジン)300mg単剤療法を投与する群(N=107人)、またはプラセボを投与する群(N=109人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として56日以上の赤血球輸血非依存達成率(TI)、重要な副次評価項目として全生存期間(OS)などを比較検証した二重盲検プラセボ対照の第3相試験である。
本試験が開始された背景として、低リスクの骨髄異形成症候群(MDS)の治療選択肢は非常に限られている。DNAメチル化阻害薬であるCC-486(経口用アザシチジン)は急性骨髄性白血病(AML)をはじめ造血器腫瘍に対して有用性が示されている。以上の背景より、低リスクの骨髄異形成症候群(MDS)患者に対するDNAメチル化阻害薬CC-486(経口用アザシチジン)の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である56日以上の赤血球輸血非依存達成率(TI)はCC-486(経口用アザシチジン)群31%に対してプラセボ群11%で、CC-486(経口用アザシチジン)群で高率であった(P=0.0002)。副次評価項目である全生存期間(OS)中央値は、CC-486(経口用アザシチジン)群17.3ヶ月に対してプラセボ群16.2ヶ月であり、両群間で全生存期間(OS)に統計学的有意な差は確認されなかった(P=0.96)。
一方の安全性として、グレード3~4の有害事象はCC-486(経口用アザシチジン)群で90%、プラセボ群73%であった。また、全死亡率(OS)は両群間で同等であったが、無作為より最初の56日間における死亡数に関してはCC-486(経口用アザシチジン)群16人、プラセボ群6人であった。また、CC-486(経口用アザシチジン)群における死亡の要因は感染症であった。
以上の第3相試験の結果よりGuillermo Garcia-Manero氏らは以下のように結論を述べている。「低リスクの骨髄異形成症候群(MDS)患者に対するDNAメチル化阻害薬であるCC-486(経口用アザシチジン)単剤療法は、赤血球輸血非依存達成率(TI)を統計学的有意に改善しました。早期死亡はCC-486(経口用アザシチジン)群で多く、それは好中球減少による感染症と関連していました。今後さらなる評価が必要です」と結論を述べている。