4月14日、小野薬品工業株式会社は原発不明がんに対して、オプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)の効能または効果の追加に係る一部変更承認申請を行ったことを発表した。
原発不明がんは、全身を検索しても原発巣が分からず、組織学的に転移巣と判明している悪性腫瘍である。日本における原発不明がんの患者は約3000人~1万3000人と推定されており、原発不明がんの約80%が治療法の確立されていない予後不良群である。薬物療法が治療の主流となるが、国内外問わず原発不明がんに対して承認された薬剤はなく、標準治療は未確立である。
今回の承認申請は、医師主導治験であるNivoCUP試験(UMIN000030649)の結果に基づくもの。同試験は、化学療法治療歴のある、または未治療の原発不明がん患者(予後不良群)を対象に、オプジーボの有効性と安全性を検討した非盲検第2相試験。主要評価項目である化学療法治療歴のある患者における奏効率は22.2%(95%信頼区間:11.2-37.1)であり、事前に設定した閾値奏効率5%を超えたため達成と評価された。また、治療歴を問わない全患者における奏効率は21.4%(95%信頼区間:11.6-34.4)であり、治療歴にかかわらずオプジーボの抗腫瘍効果が認められた。なお、同試験は近畿大学病院を中心に実施された。
なお、オプジーボについては、3月11日付で厚生労働省より原発不明がんを効能又は効果とする希少疾病用医薬品の指定を受け、優先審査の対象となっている。
オプジーボとは
オプジーボ(一般名:ニボルマブ)は、Programmed death-1(PD-1)とそのリガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬。日本では2014年に悪性黒色腫で承認されて以降、さまざまながん種における治療選択肢となっている。
原発不明がんとは
原発不明がんは、十分に検索したにもかかわらず原発巣が不明で、組織学的に転移巣と判明している悪性腫瘍。診断時に進行・転移している病態であり、全患者の半数以上が複数臓器に転移が認められる。そのため、生存期間は6~9ヶ月、5年生存率は2~6%と極めて予後不良。全患者の20%は予後良好群とされ、推定される原発巣に準じた特異的な治療の適応となるが、80%の患者は治療法が確立されておらず予後不良群となる。現時点で国内外問わず原発不明がんに対して承認された薬剤はない。
参照元:
小野薬品工業株式会社 プレスリリース