・IDH1遺伝子変異陽性の再発/難治急性骨髄性白血病患者が対象の第2相試験
・Olutasidenib(オルタシデニブ)単剤療法の有効性・安全性を検証
・完全寛解率(CR)+部分的血液学的回復を伴う完全寛解率(CRh)は33%を示した
2021年6月9日~17日、バーチャルミーティングで開催された第25回欧州血液学会議(EHA2021)にて、IDH1遺伝子変異陽性の再発/難治急性骨髄性白血病(RRAML)患者に対する経口IDH1阻害薬であるOlutasidenib(FT-2102)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02719574)の中間解析の結果がInstitute Gustave RoussyのStéphane de Botton氏らにより公表された。
本試験は、IDH1遺伝子変異陽性の再発/難治急性骨髄性白血病(RRAML)患者(N=153人)に対して1日2回Olutasidenib(FT-2102)150mg単剤を投与し、主要評価項目として完全寛解率(CR)+部分的血液学的回復を伴う完全寛解率(CRh)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)、全生存期間(OS)などを検証した第2相試験である。
本試験が開始された背景として、第1相試験にてハイリスク急性骨髄性白血病(AML)に対する経口IDH1阻害薬であるOlutasidenib(FT-2102)単剤療法は忍容性に問題なく、良好な抗腫瘍効果を示している。以上の背景より、IDH1遺伝子変異陽性の再発難治急性骨髄性白血病(RRAML)に対するOlutasidenib(FT-2102)単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された153人の患者の治療期間(DOT)中央値は5.5ヶ月(95%信頼区間:4.4~8.7ヶ月)。治療を中止したのは72%(N=110人)であり、理由は病勢進行31%、有害事象(AE)14%、死亡10%、移植8%。年齢中央値は71歳(32~87歳)。前治療歴中央値2レジメン(1~7レジメン)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である完全寛解率(CR)+部分的血液学的回復を伴う完全寛解率(CRh)は33%を示した。また、副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は46%、奏効持続期間(DOR)中央値11.7ヶ月を示した。
全生存期間(OS)中央値は10.5ヶ月を示し、完全寛解(CR)+部分的血液学的回復を伴う完全寛解(CRh)を達成した患者における全生存期間(OS)中央値は未到達であり、18ヶ月全生存率(OS)は87%を示した。また、完全寛解(CR)+部分的血液学的回復を伴う完全寛解(CRh)を達成しなかった患者における全生存期間(OS)中央値は15.0ヶ月を示した。
一方の安全性として、25%以上の患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は悪心38%、便秘25%、白血球数増加25%であった。また、10%以上の患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は発熱性好中球減少症20%、貧血19%、血小板減少症16%、好中球減少症13%であった。
以上の第2相試験の結果よりInstitute Gustave RoussyのStéphane de Botton氏らは「IDH1遺伝子変異陽性の再発難治急性骨髄性白血病(RRAML)患者に対する経口IDH1阻害薬Olutasidenib(FT-2102)単剤療法は持続的な完全寛解(CR)を示しました。また、忍容性も良好であり、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はありませんでした」と結論を述べている。