・未治療のステージIII/IV悪性黒色腫(メラノーマ)患者が対象の第2相試験
・ファーストライン治療としてのBempegaldesleukin+抗PD-1抗体薬オプジーボ併用療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は52.6%、完全奏効率は34.2%を示した
2021年7月13日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて未治療のステージIII/IV悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対するファーストライン治療としてのPEG化インターロイキン-2(IL-2)製剤であるBempegaldesleukin+抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02983045)の結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのAdi Diab氏らにより公表された。
本試験は、未治療のステージIII/IV悪性黒色腫(メラノーマ)患者(N=41人)に対するファーストライン治療として3週を1サイクルとしてBempegaldesleukin 0.006mg/kg+オプジーボ360mg併用療法を投与し、主要評価項目でとして安全性、盲検下独立中央評価(BICR)による客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第2相試験である。
本試験が開始された背景として、ステージIII/IV悪性黒色腫(メラノーマ)に対する抗PD-1抗体をはじめとした免疫チェックポイント阻害薬による治療成績は非常に良好であり、現在の本疾患の標準治療である。しかしながら、この治療に対して難治性を示す患者も少なからず存在する。IL-2はCD4+T細胞、CD8+T細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の生存を促進させることにより、がん細胞の死亡を促進させる。一方、IL-2の臨床での使用は重篤な有害事象(SAE)の発現、効力の持続性の観点より限られている。以上の背景より、PEG化IL-2製剤であるBempegaldesleukinを免疫チェックポイント阻害薬に併用する治療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の有効性を評価された38人のフォローアップ期間中央値29.0ヶ月時点における結果は次の通りである、主要評価項目である盲検下独立中央評価(BICR)による客観的奏効率(ORR)は52.6%(N=20/38人)を示し、完全奏効率(CR)は34.2%(N=13/38人)を示した。また、標的病変のサイズ変化率はベースライン時点から-78.5%、標的病変の完全除去率は47.4%(N=18/38人)を示した。
無増悪生存期間(PFS)中央値は30.9ヶ月(95%信頼区間:5.3ヶ月~未到達)、全生存期間(OS)中央値は未到達、24ヶ月全生存率(OS)は77.0%(95%信頼区間:60.4~87.3%)を示した。
一方の安全性として、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は17.1%(N=7/41人)、免疫関連有害事象(irAE)発症率は4.9%(N=2/41人)をそれぞれ示した。
以上の第2相試験の結果よりAdi Diab氏らは「未治療のステージIII/IV悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対するファーストライン治療としてのPEG化IL-2製剤Bempegaldesleukin+抗PD-1抗体薬オプジーボ併用療法は、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)、免疫関連有害事象(irAE)発症率は低率であり、抗腫瘍効果が期待できる結果でした」と結論を述べている。