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滑膜肉腫または粘液型脂肪肉腫に対するテセントリク+プライムブーストワクチンCMB305併用療法、良好な特異的免疫反応を示す

この記事の3つのポイント
・局所進行性/再発性/転移性滑膜肉腫または粘液型脂肪肉腫患者が対象の第2相試験
・テセントリク+CMB305併用療法有効性安全性をテセントリク単剤療法と比較検証
・併用療法で10%死亡リスクを減少し、NY-ESO-1免疫反応は併用群で有意に高率であった

2021年7月14日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて局所進行性/再発性/転移性滑膜肉腫または粘液型脂肪肉腫患者に対する抗PD-L1抗体薬であるテセントリク(一般名:アテゾリズマブ、以下テセントリク)+プライムブーストワクチンであるCMB305併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02609984)の結果がSarcoma Oncology CenterのSant P. Chawla氏らにより公表された。

本試験は、局所進行性/再発性/転移性滑膜肉腫または粘液型脂肪肉腫患者(N=89人)に対してテセントリク+CMB305を投与する群、またはテセントリク単剤療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)、安全性、免疫奏効率を検証した第2相試験である。

本試験に登録された患者における前治療歴は2レジメン以上が55.1%である。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

無増悪生存期間(PFS)中央値はテセントリク+CMB305併用群の2.6ヶ月に対してテセントリク単剤群で1.6ヶ月と、テセントリク+CMB305併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを10%(HR:0.9、95%信頼区間:0.6~1.3)減少した。また、全生存期間(OS)中央値はテセントリク+CMB305併用群の18ヶ月に対してテセントリク単剤群で18ヶ月と、両群間で同等であった。

また、テセントリク+CMB305併用群でNY-ESO-1特異的免疫反応(P<0.0001)とNY-ESO-1特異的T細胞誘導効果(P=0.01)が統計学的有意に高率であった。

以上の第2相試験の結果よりSant P. Chawla氏らは「局所進行性/再発性/転移性滑膜肉腫または粘液型脂肪肉腫患者に対する抗PD-L1抗体薬テセントリク+プライムブーストワクチンCMB305併用療法は、テセントリク単剤療法に比べて無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を統計学有意に改善しませんでした。一方で、テセントリク+CMB305併用群ではNY-ESO-1特異的免疫反応が良好でした」と結論を述べている。

Phase II Randomized Study of CMB305 and Atezolizumab Compared With Atezolizumab Alone in Soft-Tissue Sarcomas Expressing NY-ESO-1(J Clin Oncol. 2021 Jul 14;JCO2003452. doi: 10.1200/JCO.20.03452.)

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