・プラチナ系抗がん剤に対して抵抗性のある再発/進行卵巣がん患者が対象の第3相試験
・オプジーボ単剤療法の有効性・安全性を化学療法と比較検証
・全生存期間はオプジーボ単剤群10.1ヶ月、化学療法12.1ヶ月であり、統計学的有意な改善を認めなかった
2021年9月2日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてプラチナ系抗がん剤に対して抵抗性のある再発/進行卵巣がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)単剤療法の有効性、安全性を化学療法と比較検証した第3相のNINJA試験(JapicCTI-153004)の結果が京都大学大学院医学部の濱西潤三氏らにより公表された。
NINJA試験は、プラチナ系抗がん剤に対して抵抗性のある再発/進行卵巣がん患者(N=316人)を2週を1サイクルとしてオプジーボ240mg単剤療法を実施する群(N=157人)と、4週を1サイクルとして化学療法(1、8、15日目にゲムシタビン1000mg/m2単剤療法もしくはペグ化リポソーマルドキソルビシン50mg/m2単剤療法)を実施する群(N=159人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)などを検証した多施設共同ランダム化オープンラベルの第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はオプジーボ単剤群の10.1ヶ月(95%信頼区間:8.3~14.1ヶ月)に対してゲムシタビンもしくはペグ化リポソーマルドキソルビシン単剤群で12.1ヶ月(95%信頼区間:9.3~15.3ヶ月)と、両群で死亡(OS)のリスクは同等(HR:1.0、95%信頼区間:0.8~1.3、P=0.808)であった。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はオプジーボ単剤群の2.0ヶ月(95%信頼区間:1.9~2.2ヶ月)に対してゲムシタビンもしくはペグ化リポソーマルドキソルビシン単剤群で3.8ヶ月(95%信頼区間:3.6~4.2ヶ月)と、オプジーボ単剤群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクが50%増加(HR:1.5、95%信頼区間:1.2~1.9、P=0.002)した。
客観的奏効率(ORR)はオプジーボ単剤群の7.6%に対してゲムシタビンもしくはペグ化リポソーマルドキソルビシン単剤群で13.2%(ORR:0.6、95%信頼区間:0.2~1.3、P=0.191)、奏効持続期間(DOR)中央値はオプジーボ単剤群の18.7ヶ月に対してゲムシタビンもしくはペグ化リポソーマルドキソルビシン単剤群で7.4ヶ月であり、オプジーボ単剤群で長期の奏効が確認された。
一方の安全性として、治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ単剤群61.5%に対してゲムシタビンもしくはペグ化リポソーマルドキソルビシン単剤群98.1%を示し、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。
以上のNINJA試験の結果より濱西潤三氏らは「プラチナ系抗がん剤に対して抵抗性のある再発/進行卵巣がん患者に対する抗PD-1抗体薬オプジーボ単剤療法は、化学療法に比べて全生存期間(OS)を改善せず、無増悪生存期間(PFS)は悪化しました」と結論を述べている。