・ALK陽性の進行性非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・Ensartinib(エンサルチニブ)単剤療法の有効性・安全性をクリゾチニブ単剤療法と比較検証
・無増悪生存期間はEnsartinib群25.8ヶ月に対してクリゾチニブ単剤群12.7ヶ月であり統計学的有意に延長した
2021年9月2日、医学誌『JAMA Oncology』にてALK陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としてのEnsartinib(エンサルチニブ:X-396)単剤療法の有効性、安全性を検証した第3相のeXalt3試験(NCT02767804)の結果がVanderbilt-Ingram Cancer CenterのLeora Horn氏らにより公表された。
本試験は、ALK陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対して1日1回Ensartinib(X-396)225mg単剤療法を実施する群、または1日2回クリゾチニブ250mg単剤療法を実施する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として独立評価委員会判定による無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として頭蓋内奏効率(IC-ORR)、客観的奏効率(ORR)などを比較検証した第3相試験である。
本試験に登録された290人の年齢中央値は54歳(25~90歳)、性別は男性51.4%(N=149人)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である独立評価委員会判定による無増悪生存期間(PFS)中央値はEnsartinib(X-396)群の25.8ヶ月に対してクリゾチニブ単剤群で12.7ヶ月と、Ensartinib(X-396)群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを49%(HR:0.51、95%信頼区間:0.35~0.72、P<0.001)統計学的有意に改善した。
副次評価項目である頭蓋内奏効率(IC-ORR)はEnsartinib(X-396)群の63.6%(N=7/11人)に対してクリゾチニブ単剤群で21.1%(N=4/19人)を示した。また、脳転移のない患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値は、中枢神経系の病勢進行が少なかったため、Ensartinib(X-396)群の未到達に対して、一方でクリゾチニブ単剤群で16.6ヶ月であった。
一方の安全性として、治療関連の重篤な有害事象(SAE)発症率はEnsartinib(X-396)群の7.7%に対してクリゾチニブ単剤群で6.1%、減量率はEnsartinib(X-396)群の23.8%に対してクリゾチニブ単剤群で19.9%、治療中止率はEnsartinib(X-396)群の9.1%に対してクリゾチニブ単剤群で6.8%であり、新たな安全性シグナルは認められなかった。
以上のeXalt3試験の結果よりLeora Horn氏らは「ALK陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としてのEnsartinib(X-5396)単剤療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。本治療はALK陽性の進行性非小細胞肺がんファーストライン治療の新しい治療選択肢になり得るでしょう」と結論を述べている。