・肝限局転移性大腸がん患者が対象の第2/3相試験
・肝切除後のアジュバント療法としてのmFOLFOX6療法の有効性・安全性を肝切除のみと比較検証
・5年無病生存率は肝切除+mFOLFOX6療法群で統計学的優位に延長したが、
全生存期間の改善には相関を示さなかった
2021年9月14日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて肝限局転移性大腸がん患者に対する肝切除後のアジュバント療法としてのmFOLFOX6療法の有効性、安全性を比較検証した第2/3相のJCOG0603試験(UMIN000000653)の結果が国立がん研究センター中央病院の金光幸秀氏らにより公表された。
JCOG0603試験は、肝限局転移性大腸がん患者(N=300人)に対して肝切除のみを実施する群(N=149人)、もしくは肝切除後のアジュバント療法としてmFOLFOX6療法を12コース投与する群(N=151人)に無作為に振り分け、主要評価項目として全例(ITT集団)における無病生存期間(DFS)を比較検証した第2/3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値53.6ヶ月時点における結果、主要評価項目である全例(ITT集団)における無病生存期間(DFS)は肝切除+mFOLFOX6療法群の方で統計学的有意に延長することが示されたため、試験は早期中止された。
5年無病生存率(DFS)は肝切除単独群38.7%(95%信頼区間:30.4~46.8%)に対して肝切除+mFOLFOX6療法群49.8%(95%信頼区間:41.0~58.0%)を示し、肝切除+mFOLFOX6療法群で病勢進行または死亡(DFS)のリスクを33%(HR:0.67、95%信頼区間:0.50~0.92、P=0.006)改善した。
一方、5年全生存率(OS)は肝切除単独群83.1%(95%信頼区間:74.9~88.9%)に対して肝切除+mFOLFOX6療法群71.2%(95%信頼区間:61.7~78.8%)を示した。肝切除+mFOLFOX6療法群で最も多くの患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は好中球減少症、感覚障害、アレルギー反応であった。
以上のJCOG0603試験の結果より金光幸秀氏らは「肝限局転移性大腸がん患者に対する肝切除後のアジュバント療法としてのmFOLFOX6療法は無病生存期間(DFS)を統計学的有意に改善するも、この効果は全生存期間(OS)の改善には相関しませんでした」と結論を述べている。