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プラチナ系抗がん剤治療歴のある再発性/転移性鼻咽頭がんに対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法、全生存期間17.2ヶ月を示す

この記事の3つのポイント
・プラチナ系抗がん剤治療歴のある再発性/転移性鼻咽頭がん患者が対象の第3相試験
キイトルーダ単剤療法の有効性安全性化学療法と比較検証
・全患者群における全生存期間はキイトルーダ群17.2ヶ月で、
 化学療法群に対して有意な延長がみられなかったが、死亡リスクを10%減少した

2021年9月16日~21日に開催された欧州臨床腫瘍学会議(ESMO 2021)のバーチャルミーティングにてプラチナ系抗がん剤治療歴のある再発性/転移性鼻咽頭がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を化学療法と比較検証した第3相のKEYNOTE-122試験(NCT02611960)の結果がThe Chinese University of Hong KongのAnthony T.C. Chan氏らにより公表された。

KEYNOTE-122試験は、プラチナ系抗がん剤治療歴のある再発性/転移性鼻咽頭がん患者(N=233人)に対して、抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ単剤を投与する群(N=117人)、または化学療法(カペシタビン、ゲムシタビン、ドセタキセル)を実施する群(N=116人)に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、客観的奏効率ORR)、奏効持続期間(DOR)などを比較検証した第3相試験である。

本試験の結果、全患者(ITT)群における全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ群の17.2ヶ月(95%信頼区間:11.7~22.9ヶ月)に対して化学療法群で15.3ヶ月(95%信頼区間:10.9~18.1ヶ月)と、キイトルーダ群で死亡(OS)のリスクを10%減少(HR:0.90、95%信頼区間:0.67~1.19、P=0.2262)した。

また、PD-L1陽性(CPS≥1)群における全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ群の17.2ヶ月に対して化学療法群で18.0ヶ月、24ヶ月全生存率(OS)はキイトルーダ群の40.2%に対して化学療法群で32.2%を示した。

副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はキイトルーダ群の4.1ヶ月に対して化学療法群で5.5ヶ月を示し、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった。全患者(ITT)群における客観的奏効率(ORR)はキイトルーダ群の21.4%に対して化学療法群で23.3%、PD-L1陽性(CPS≥1)群における客観的奏効率(ORR)はキイトルーダ群の23.0%に対して化学療法群で26.0%を示した。奏効持続期間(DOR)中央値はキイトルーダ群の12.0ヶ月に対して化学療法群で13.1ヶ月を示した。

グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ群の61.2%に対して化学療法群で87.5%、グレード3~5の治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ群の10.3%に対して化学療法群で43.8%であった。

以上のKEYNOTE-122試験の結果よりAnthony T.C. Chan氏らは「プラチナ系抗がん剤治療歴のある再発性/転移性鼻咽頭がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は、主要評価項目である全生存期間(OS)を統計学的有意に改善しませんでした。一方で、治療関連有害事象(TRAE)は化学療法に比べてキイトルーダ単剤群で低率で、管理可能な内容でした」と結論を述べている。

PEMBROLIZUMAB DOES NOT PROLONG OVERALL SURVIVAL COMPARED TO CHEMOTHERAPY IN PLATINUM-PRETREATED RECURRENT OR METASTATIC NASOPHARYNGEAL CARCINOMA(ESMO Congress 2021)

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