・切除不能進行性肝細胞がん患者が対象の第3相試験
・ファーストライン治療としてイミフィンジ+トレメリムマブ単回追加投与療法の有効性・安全性をソラフェニブと比較検証
・全生存期間はイミフィンジ+トレメリムマブはソラフェニブと比較して有意に改善を認め、イミフィンジ単剤療法はソラフェニブに対して非劣勢を示した
2021年10月15日、英アストラゼネカ社のプレスリリースにて、前治療歴のない切除不能進行性肝細胞がん(HCC)患者に対するファーストライン治療として、抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)単剤療法、イミフィンジ+抗CLTA-4抗体薬であるトレメリムマブ併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のHIMALAYA試験の結果が公表された。
HIMALAYA試験は、前治療歴のない切除不能進行性肝細胞がん(HCC)患者(N=1324人)に対して4週を1サイクルとしてイミフィンジ1500mg単剤療法を投与する群、4週を1サイクルとしてイミフィンジ1500mg+プライミング量としてトレメリムマブ300mgを単回追加投与する群、または標準治療薬であるソラフェニブ単剤療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)を比較検証した無作為化非盲検国際多施設共同の第3相試験である。
なお、今回のイミフィンジ+トレメリムマブの単回追加投与の投与量とスケジュールはSTRIDEレジメン(Single Tremelimumab Regular Interval Durvalmab)と呼ばれている。
本試験が開始された背景として肝細胞がん(HCC)は肝臓がんの中で最も典型的な悪性腫瘍であり、死亡率、罹患率は非常に高い。そして、進行性肝細胞がん(HCC)の5年全生存率(OS)は約7%程度と非常に低率である。以上の背景より、前治療歴のない切除不能進行性肝細胞がん(HCC)患者に対する抗PD-L1抗体薬イミフィンジ単剤療法、併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)はソラフェニブ単剤療法に比べてイミフィンジ+トレメリムマブ単回追加投与群で統計学的有意に改善した。なお、イミフィンジ+トレメリムマブ単回追加投与群は忍容性に問題なく、トレメリムマブを追加しても重篤な肝毒性を増加させなかった。一方、イミフィンジ単剤療法はソラフェニブ単剤療法に比べて全生存期間(OS)の非劣勢を示した。
以上のHIMALAYA試験の結果より、代表治験医師であるMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのGhassan Abou-Alfa氏は「本試験は、前治療歴のない切除不能進行性肝細胞がん(HCC)患者に対するファーストライン治療としての抗PD-L1抗体薬イミフィンジ+プライミング量として抗CLTA-4抗体薬トレメリムマブ単回追加療法の有用性を検証した初の第3相試験です。本治療により患者さんの免疫力を高め、最小限の副作用で良好な全生存期間(OS)改善効果を示す可能性が示唆されました」と結論を述べている。