・強力な化学療法に適応のないIDH2変異を有する急性骨髄性白血病患者が対象の第2相試験
・Enasidenib(エナシデニブ)+アザシチジン併用療法の有効性・安全性をアザシチジン単剤療法と比較検証
・客観的奏効率はEnasidenib+アザシチジン併用群は74%であり、アザシチジン単剤群36%に対して高率を示した
2021年10月18日、医学誌『The Lancet Oncology』にて強力な化学療法に適応のないIDH2変異を有する急性骨髄性白血病(AML)に対するIDH2阻害薬であるEnasidenib(エナシデニブ、AG-221)+アザシチジン併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02677922)の結果がMD Anderson Cancer CenterのCourtney D DiNardo氏らにより公表された。
本試験は、強力な化学療法に適応のないIDH2変異を有する急性骨髄性白血病(AML)患者(N=101人)に対してEnasidenib(AG-221)+アザシチジン併用療法を投与する群(N=68人)、もしくはアザシチジン単剤療法を投与する群(N=33人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として安全性などを比較検証した第2相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はEnasidenib(AG-221)+アザシチジン併用群の74%(N=50人、95%信頼区間:61~84%)に対してアザシチジン単剤群で36%(N=12人、95%信頼区間:20~55%)と、Enasidenib(AG-221)+アザシチジン併用群で高率(ORR:4.9、95%信頼区間:2.0~11.9、P=0.0003)であった。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)は、血小板減少症がEnasidenib(AG-221)+アザシチジン併用群の37%(N=25/68人)に対してアザシチジン単剤群で19%(N=6/32人)、好中球減少症が37%(N=25/68人)に対して25%(N=8/32人)、貧血が19%(N=13/68人)に対して22%(N=7/32人)、発熱性好中球減少症が16%(N=11/68人)に対して16%(N=5/32人)であった。
重篤な有害事象(SAE)発症率は、Enasidenib(AG-221)+アザシチジン併用群の43%(N=29/68人)に対してアザシチジン単剤群で44%(N=14/32人)。なお、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は1人の患者でも確認されなかった。
以上の第2相試験の結果よりMD Anderson Cancer CenterのCourtney D DiNardo氏らは「強力な化学療法に適応のないIDH2変異を有する急性骨髄性白血病(AML)に対するIDH2阻害薬Enasidenib(AG-221)+アザシチジン併用療法は、アザシチジン単剤群に比べて統計学的有意に客観的奏効率(ORR)を改善しました」と結論を述べている。