・進行性/転移性子宮頸がん患者が対象の第3相試験
・ファーストライン治療としてのキイトルーダ+プラチナ系抗がん剤±ベバシズマブ併用療法の有効性・安全性をプラセボと比較検証
・全患者における無増悪生存期間はキイトルーダ+化学療法±ベバシズマブ群で10.4ヶ月で、プラセボ群に対して統計学的有意な延長を示した
2021年11月11日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて進行性/転移性子宮頸がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)+プラチナ系抗がん剤±ベバシズマブ併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のKEYNOTE-826試験(NCT03635567)の結果がUniversity of Milan-BicoccaのNicoletta Colombo氏らにより公表された。
本試験は、進行性/転移性子宮頸がん患者に対するファーストライン治療として3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+プラチナ系抗がん剤±ベバシズマブ併用療法を実施する群、または3週を1サイクルとしてプラセボ+プラチナ系抗がん剤±ベバシズマブ併用療法を実施する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を比較検証した第3相試験である。
本試験の結果、PD-L1陽性(スコア1以上)群(N=548人)における無増悪生存期間(PFS)中央値は、キイトルーダ+化学療法±ベバシズマブ群の10.4ヶ月に対してプラセボ+化学療法±ベバシズマブ群で8.2ヶ月を示し、キイトルーダ+化学療法±ベバシズマブ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクが38%(HR:0.62、95%信頼区間:0.50-0.77、P<0.001)減少した。24ヶ月全生存率(OS)は、キイトルーダ+化学療法±ベバシズマブ群の53.0%に対してプラセボ+化学療法±ベバシズマブ群で41.7%(HR:0.64、95%信頼区間:0.50-0.84、P<0.001)を示した。
全患者群(N=617人)における無増悪生存期間(PFS)中央値は、キイトルーダ+化学療法±ベバシズマブ群の10.4ヶ月に対してプラセボ+化学療法±ベバシズマブ群で8.2ヶ月を示し、キイトルーダ+化学療法±ベバシズマブ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクが35%(HR:0.65、95%信頼区間:0.53-0.79、P<0.001)減少。24ヶ月全生存率(OS)は、キイトルーダ+化学療法±ベバシズマブ群の50.4%に対してプラセボ+化学療法±ベバシズマブ群で40.4%(HR:0.67、95%信頼区間:0.54-0.84、P<0.001)を示した。
PD-L1陽性(スコア10以上)群(N=317人)における無増悪生存期間(PFS)中央値は、キイトルーダ+化学療法±ベバシズマブ群の10.4ヶ月に対してプラセボ+化学療法±ベバシズマブ群で8.1ヶ月を示し、キイトルーダ+化学療法±ベバシズマブ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクが42%(HR:0.58、95%信頼区間:0.44-0.77、P<0.001)減少。24ヶ月全生存率(OS)は、キイトルーダ+化学療法±ベバシズマブ群の54.4%に対してプラセボ+化学療法±ベバシズマブ群で44.6%(HR:0.61、95%信頼区間:0.44-0.84、P=0.001)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3~5の有害事象(AE)は下記の通りである。貧血がキイトルーダ+化学療法±ベバシズマブ群の30.3%に対してプラセボ+化学療法±ベバシズマブ群で26.9%、好中球減少症が12.4%に対して9.7%をそれぞれ示した。
以上のKEYNOTE-826試験の結果よりNicoletta Colombo氏らは「進行性/転移性子宮頸がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ+プラチナ系抗がん剤±ベバシズマブ併用療法は、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を統計学有意に改善しました」と結論を述べている。