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びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に対する一次治療としてのポラツズマブベドチン+R-CHP療法、無増悪生存期間を改善

この記事の3つのポイント
・びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫患者が対象の第3相試験
一次治療としてのポラツズマブベドチン+R-CHP(pola-R-CHP)療法の有効性安全性をR-CHOP療法と比較検証
無増悪生存期間はR-CHOP併用群に比べてpola-R-CHP療法群で統計学的有意に延長した

2021年12月11日~13日に開催された、第63回米国血液学会(ASH2021)にて未治療のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)患者に対する抗CD79b抗体薬物複合体であるポラツズマブベドチン+リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+プレドニゾン(pola-R-CHP)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のPOLARIX試験(NCT03274492)の結果がCentre Henri Becquerel and University of RouenのHervé Tilly氏らにより公表された。

本試験は、未治療のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(RRDLBCL)患者に対して1日目にポラツズマブベドチン1.8mg/kg+リツキシマブ375mg/m2+シクロホスファミド750mg/m2+ドキソルビシン50mg/m2+1~5日目に1日1回プレドニゾン100mg併用療法を実施する群(N=440人、pola-R-CHP)、もしくは1日目にプラセボ+ビングリスチン1.4mg/m2+リツキシマブ375mg/m2+シクロホスファミド750mg/m2+ドキソルビシン50mg/m2+1~5日目に1日1回プレドニゾン100mg併用療法を実施する群(N=439人、R-CHOP)に無作為に振り分け、主要評価項目として主治医評価の無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として無イベント生存期間(EFS)、全生存期間OS)、安全性などを比較検証した二重盲検下プラセボ対照の試験である。

本試験が開始された背景として、未治療のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)患者に対する現在の標準治療はR-CHOP併用療法である。しかしながら、本治療を受けた約40%の患者に至っていない。抗CD79b抗体薬物複合体であるポラツズマブは、R-CHP療法との併用により再発難治性びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)に対して有用性を示すことが確認されている。以上の背景より、本試験が開始された。

本試験に登録された879人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は65歳(19-80歳)。国際予後指標IPIスコアは3-5が62.0%であった。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

フォローアップ期間中央値28.2ヵ月時点における無増悪生存期間(PFS)は、R-CHOP併用群に比べてpola-R-CHP併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを27%減少(HR:0.73、95%信頼区間:0.57–0.95、P<0.02)した。2年無増悪生存率(PFS)はpola-R-CHP併用群の76.7%(95%信頼区間:72.7–80.8%)に対してR-CHOP併用群で70.2%(95%信頼区間:65.8–74.6%)を示した。

無イベント生存期間(EFS)は、R-CHOP療法群に比べてpola-R-CHP療法群でイベントまたは死亡(EFS)のリスクを25%減少(HR:0.75、95%信頼区間:0.58–0.96、P=0.02)した。PET-CTを用いた完全奏効率(PET-CT CR rate)はpola-R-CHP療法群の78.0%に対してR-CHOP療法群で74.0%と、有意差は認められなかった(P=0.16)。また、全生存期間(OS)は両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:0.94、95%信頼区間:0.65–1.37、P=0.75)。

一方の安全性として、グレード3~4の有害事象(AE)発症率はpola-R-CHP療法群の57.7%に対してR-CHOP療法群で57.5%と同等であり、重篤な有害事象(SAE)発症率はpola-R-CHP療法群の34.0%に対してR-CHOP療法群で30.6%、グレード5の有害事象(AE)発症率はpola-R-CHP療法群の3.0%に対してR-CHOP療法群で2.3%であった。なお、有害事象(AE)による減量や治療中止率はpola-R-CHP療法群の9.2%に対してR-CHOP療法群で13.0%であった。

以上のPOLARIX試験の結果よりHervé Tilly氏らは「未治療のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)患者に対する抗CD79b抗体薬物複合体ポラツズマブベドチン+リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+プレドニゾン併用療法は、現在の標準治療であるR-CHOP併用療法に比べて病勢進行または死亡(PFS)のリスクを27%減少しました。また、安全性プロファイルも既存の臨床試験で確認されている内容と一致しており、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はありませんでした」と結論を述べている。

The POLARIX Study: Polatuzumab Vedotin with Rituximab, Cyclophosphamide, Doxorubicin, and Prednisone (pola-R-CHP) Versus Rituximab, Cyclophosphamide, Doxorubicin, Vincristine and Prednisone (R-CHOP) Therapy in Patients with Previously Untreated Diffuse Large B-Cell Lymphoma(ASH2021 Annual Meeting&Exposition Abstract#LBA-1)

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