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切除不能肝細胞がんに対するファーストライン治療としてのイミフィンジ+トレメリムマブ併用「STRIDEレジメン」、全生存期間を延長

この記事の3つのポイント
・切除不能肝細胞がん患者が対象の第3相試験
ファーストラインとしてのSTRIDEレジメン有効性安全性をイミフィンジ単剤と比較検証
全生存期間はSTRIDEレジメン16.4ヶ月であり、ソラフェニブ単剤(13.8ヶ月)に対して統計学的有意に延長した

2022年1月18日、英アストラゼネカ社のプレスリリースにて、全身療法による前治療歴がなく、局所療法(肝臓とその周辺組織の局所療法)が適さない切除不能肝細胞がん(HCC)患者に対するファーストライン治療としての抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)+抗CTLA-4抗体薬であるトレメリムマブを併用する「STRIDEレジメン」の有効性、安全性を比較検証した第3相のHIMALAYA試験の結果が公表された。

全身療法による前治療歴がなく、局所療法が適さない切除不能肝細胞がん(HCC)患者(N=1171人)に対して、イミフィンジ1500mgを単剤投与する群(N=389人)、イミフィンジ1500mg+トレメリムマブ300mgを初回単回追加投与し、その後4週間ごとにイミフィンジを投与する群(STRIDEレジメン:N=393人)、マルチキナーゼ阻害薬標準治療薬のソラフェニブを単剤投与する群(N=389人)に無作為に振り分け、主要評価項目としてソラフェニブと比較したSTRIDEレジメンの全生存期間(OS)、副次評価項目としてソラフェニブと比較したイミフィンジの全生存期間(OS)、STRIDEレジメンおよびイミフィンジ単剤療法の客観的奏効率ORR)、無増悪生存期間PFS)を比較検証した無作為化非盲検国際多施設共同試験の第3相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値は、STRIDEレジメンの16.4ヶ月に対してソラフェニブ単剤群で13.8ヶ月と、STRIDEレジメンで死亡(OS)のリスクが22%(HR:0.78、96.02%信頼区間:0.65-0.93、P=0.0035)統計学的有意に改善した。

24ヶ月全生存率(OS)は、STRIDEレジメンで40.5%、イミフィンジ単剤群で39.6%、ソラフェニブ単剤群で32.6%を示した。36ヶ月全生存率(OS)は、STRIDEレジメンで30.7%、イミフィンジ単剤群で24.7%、ソラフェニブ単剤群で20.2%だった。

副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は、STRIDEレジメンで20.1%、イミフィンジ単剤群で17.0%、ソラフェニブ単剤群で5.1%を示した。奏効持続期間(DOR)中央値は、STRIDEレジメンで22.3ヶ月、イミフィンジ単剤群で16.8ヶ月、ソラフェニブ単剤群で18.4ヶ月だった。

一方の安全性として、STRIDEレジメンならびにイミフィンジ単剤療法の安全性プロファイルは、既存の臨床試験で確認されている内容と一致しており、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。

グレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、STRIDEレジメンで25.8%、イミフィンジ単剤群で12.9%、ソラフェニブ単剤群で36.9%であった。グレード3もしくは4の肝臓関連の有害事象(AE)発症率、はSTRIDEレジメンで5.9%、イミフィンジ単剤群で5.2%、ソラフェニブ単剤群で4.5%。治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率は、STRIDEレジメンで8.2%、イミフィンジ単剤群で4.1%、ソラフェニブ単剤群で11%であった。

以上のHIMALAYA試験の結果より、本試験の代表治験医師であるMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのGhassan Abou-Alfa氏は「全身療法による前治療歴がなく、局所療法が適さない切除不能肝細胞がん(HCC)患者さんの予後は悲惨なほどに不良であり、新しい治療オプションは不可欠です。STRIDEレジメンは3年全生存率(OS)、有害事象(AE)発症率の結果は良好であり、本治療レジメンにより予後が改善する可能性が示唆されました」と結論を述べている。

Imfinzi plus tremelimumab demonstrated unprecedented survival in 1st-line unresectable liver cancer with 31% of patients alive at three years(AstraZeneca PressReeleases)

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