・ステージIVA~IVB上咽頭がん患者が対象の第3相試験
・導入療法としてのパクリタキセル+シスプラチン+カペシタビンの有効性・安全性をシスプラチン+フルオロウラシルと比較検証
・3年治療成功生存率はパクリタキセル+シスプラチン+カペシタビン併用群で83.5%と、
シスプラチン+フルオロウラシル併用群の68.9%と比較して改善を示した
2022年3月24日、医学誌『JAMA Oncology』にてステージIVA~IVB上咽頭がん患者に対する導入療法としてのパクリタキセル+シスプラチン+カペシタビン併用療法、シスプラチン+フルオロウラシル併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相試験(NCT02940925)の結果がSun Yat-sen University Cancer CenterのWang-Zhong Li氏らにより公表された。
本試験は、ステージIVA~IVB上咽頭がん患者(N=238人)に対する導入療法として21日を1サイクルとして1日目にパクリタキセル150mg/m2+1日目にシスプラチン60mg/m2+1~14日目に1日2回カペシタビン1000mg/m2併用療法を2サイクル実施し、化学放射線療法を実施する群(N=118人)、もしくは1日目にシスプラチン100mg/m2+1~5日目に1日1回フルオロウラシル800mg/m2併用療法を2サイクル実施し、化学放射線療法を実施する群(N=120人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として治療成功生存率(failure-free survival)、主要評価項目として遠隔転移生存率、全生存率、安全性等を比較検証した第3相試験である。
本試験に登録された238人の患者背景は下記の通りである。性別は男性78.6%(N=187人)。年齢中央値は45歳(18-65歳)。以上の背景を有する患者に対する、フォローアップ期間中央値48.4ヶ月時点における結果は下記の通りである。
主要評価項目である3年治療成功生存率(failure-free survival)は、パクリタキセル+シスプラチン+カペシタビン併用群の83.5%(95%信頼区間:77.0-90.6%)に対してシスプラチン+フルオロウラシル併用群の68.9%(95%信頼区間:61.1-77.8%)を示し、シスプラチン+フルオロウラシル併用群に比べてパクリタキセル+シスプラチン+カペシタビン併用群で治療成功生存(failure-free survival)のリスクを53%減少(HR:0.47、95%信頼区間:0.28-0.79、P=0.004)した。
副次評価項目である遠隔転移発症のリスクは、シスプラチン+フルオロウラシル併用群に比べてパクリタキセル+シスプラチン+カペシタビン併用群で減少(HR:0.49、95%信頼区間:0.24-0.98、P=0.04)、局所再発のリスクはシスプラチン+フルオロウラシル併用群に比べてパクリタキセル+シスプラチン+カペシタビン併用群で減少(HR:0.40、95%信頼区間:0.18-0.93、P=0.03)した。一方、早期の全生存率(OS)はシスプラチン+フルオロウラシル併用群に比べてパクリタキセル+シスプラチン+カペシタビン併用群で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:0.45、95%信頼区間:0.17-1.18、P=0.10)。
以上の第3相試験の結果よりWang-Zhong Li氏らは「ステージIVA~IVB上咽頭がん患者に対する導入療法としてのパクリタキセル+シスプラチン+カペシタビン併用療法は、シスプラチン+フルオロウラシル併用療法に比べて治療成功生存率(failure-free survival)を改善しました」と結論を述べている。