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RAS/BRAFV600E遺伝子変異陽性の切除不能大腸がん患者に対するFOLFOXIRI+ベバシズマブ併用療法、無増悪生存期間を延長

この記事の3つのポイント
・RAS/BRAFV600E遺伝子変異陽性の切除不能大腸がん患者が対象の第3相試験
FOLFOXIRI+ベバシズマブ併用療法(Arm B)の有効性安全性をFOLFOX/FOLFIRI+ベバシズマブ(Arm A)と比較検証
無増悪生存期間Arm Aで9.0ヶ月、Arm Bで10.6ヶ月であり、延長を示したが有害事象は増加した

6月3日~7日、米国イリノイ州シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2022)にてRAS/BRAFV600E遺伝子変異陽性の切除不能大腸がん患者に対するFOLFOXIRI+ベバシズマブ併用療法、FOLFOX/FOLFIRI+ベバシズマブ併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCAIRO5試験(NCT02162563)の結果がUniversity Medical Center UtrechtのCornelis J. A. Punt氏らにより公表された。

CAIRO5試験は、RAS/BRAFV600E遺伝子変異陽性の切除不能大腸がん患者(N=294人)に対するFOLFOX/FOLFIRI+ベバシズマブ併用療法を最大12サイクル実施する群(N=148人、Arm A)、もしくはFOLFOXIRI+ベバシズマブ併用療法を最大12サイクル実施する群(N=146人、Arm B)に分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目としてR0/1切除率、全生存期間OS)、客観的奏効率ORR)、安全性などを比較検証した第3相のCAIRO5試験である。なお、両群は維持療法として5FU+ロイコボリン+ベバシズマブ併用療法を実施している。

本試験に登録されたArm A、Arm Bのそれぞれの患者背景は下記の通りである。年齢中央値は61歳/65歳。性別は男性が63.9%/60.4%。原発巣部位が右側は39.5%/41.7%。RAS遺伝子変異は85.7%/86.1%。BRAFV600E遺伝子変異は6.8%/8.3%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はArm Aの9.0ヶ月に対してArm Bで10.6ヶ月を示した(HR:0.74、95%信頼区間:0.57-0.96、P=0.02)。副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はArm Aの32.0%に対してArm Bで52.1%を示した(p<0.001)。R0/1切除率はArm Aの37.4%に対してArm Bで51.4%を示した(P=0.02)。

一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はArm Aの58.5%に対してArm Bで75.0%(P=0.003)を示し、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は下記の通りである。好中球減少症がArm Aの12.9%に対してArm Bで38.2%(p<0.001)、高血圧がArm Aで14.3%に対してArm Bで13.9%(p=1)、下痢がArm Aで3.4%に対してArm Bで19.4%(p<0.001)であった。

以上のCAIRO5試験の結果についてCornelis J. A. Punt氏らは「RAS/BRAFV600E遺伝子変異陽性の切除不能大腸がん患者に対するFOLFOXIRI+ベバシズマブ併用療法は、FOLFOX/FOLFIRI+ベバシズマブ併用療法に比べて無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、R0/1切除率を改善しました。一方、有害事象(AE)は増加しました」と結論を述べている。

なお、今回の発表は切除不能大腸がんのうち原発巣が右側および/またはRAS/BRAFV600E遺伝子変異陽性の患者における結果であったが、同研究チームは原発巣が左側およびRAS/BRAFV600E野生型の患者について現在登録患者を募っている。

FOLFOXIRI + bevacizumab versus FOLFOX/FOLFIRI + bevacizumab in patients with initially unresectable colorectal liver metastases (CRLM) and right-sided and/or RAS/BRAFV600E-mutated primary tumor: Phase III CAIRO5 study of the Dutch Colorectal Cancer Group.(2022 ASCO Annual Meeting, Abstract No:LBA3506)

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