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ファイザーがPD-1の秘密を明かす

※本記事はEvaluate社の許可のもと、オンコロが翻訳したものです。内容および解釈については英語の原文を優先します。正確な内容については原文をお読みください。

 

同社は、サザンリマブの皮下投与が少なくとも、PD-(L)1後続薬群にとってチャレンジになる可能性を語る。

米ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)フランチャイズの第4四半期に示した2%という低成長と新たなPD-(L)1治療薬の脅威を否定した週、米ファイザー社は初めて自社の挑戦者であるSasanlimab(ササンリマブ)について語った。

ササンリマブのユニークなセールスポイントは、皮下投与であることにあり、これは火曜日(2月2日)に同社の経営幹部が「クラス最高のプラットフォーム」と呼んだものの一部である。2020年のキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の売上高は、30%増の144億ドルに急増したため、この領域における米メルク社の薬(キイトルーダ)の地位は揺るぎないように見えるが、PD-(L)1治療薬の一部後続薬たちは、バックミラーを心配そうに見つめているかもしれない。

もちろん、ファイザー社自身がそれら後続薬の一つであるバベンチオ(一般名:アベルマブ)(2014年に独メルク社からライセンスを受けた抗PD-L1薬)を販売している。興味深いことに、ササンリマブもその取引に含まれていた。ファイザー社によれば、この分子は自社オリジンだが、米国SECファイリングによると、2018年12月にファイザー社が権利を回復する前に両社は協業に合意してした。

利便性

ファイザー社の最高経営責任者であるジョン・ヤング氏は、火曜日に行われた2020年の決算発表で、ササンリマブの皮下投与への同社の特別な期待を述べた。「より利便性のあるPD-1阻害剤の市場は、実際にはまだ開拓されていないのではないかと思います」

この抗体は、最近開始された非筋侵襲性膀胱がんを対象とした第3相試験を含む7つの臨床試験で使用されており、ファイザー社は初期の研究において「複数の固形がんに対して非常に良好な奏効率」が示されたと述べている。

しかし、公開されているデータは限られている。40人の患者を対象とした初期の用量漸増試験において、ササンリマブの奏効率は皮下投与群で13%だったのに対し、点滴静注投与群では20%を示した。Esmo 2019で更新された結果では、肺がんと膀胱がんでORR(全奏効率)16%を示し、治療関連有害事象の発生率は51%だった。

昨日(2月4日)、ブリストル社の幹部は、これまでに得たオプジーボのデータと、同剤の地位が確立されていることを理由として、米国におけるPD-(L)1阻害剤の新規参入薬によるリスクはないとの見解を示した。

2つの新規参入薬が米国での承認を待っている。7月25日を承認審査期限とする米Incyte(インサイト)社のretifanlimab(レチファンリマブ)と、Covid-19によって遅れた英グラクソ・スミスクライン社のdostarlimab(ドスタルリマブ)であり、注目すべきことに同剤はこの英国企業にとって3番目に大きなオンコロジー領域の希望になっている。一方、遅れを取っている仏サノフィ社のLibtayo(リブタヨ、一般名:セミプリマブ)は、PD-L1高発現のNSCLC(非小細胞肺がん)に対する一次治療(2月28日)と基底細胞がん(3月3日)で、米国FDAの決定を待っている。

皮下投与がゲームチェンジャーとなったとしても、ファイザー社は戦いを強いられる。キイトルーダ、オプジーボ、スイス・ロシュ社のテセントリク(一般名:アテゾリズマブ)皮下投与製剤が臨床試験で使用されている。また、利便性の面ではPD-1/PD-L1の相互作用に狙いを定めた、少なくとも2つの経口小分子の臨床研究、または臨床試験が行われている。米クリス社のCA-170と米ギリアド・サイエンシズ社のGS-4224だ。

どちらのアプローチが最善かという議論は今後も続くだろうが、キイトルーダが米メルク社をがん領域の強豪たらしめたことは否定できない。この分子は、米メルク社が2009年に米シェリング・プラウ社を買収した際に得た控えめなポートフォリオの一部だったため、すべては偶然に起こったようだ。

昨日、米メルク社の前最高経営責任者であるケン・フレージャー氏はこう述べた。「この世界の実情は、我々が買収した資産の中にペムブロリズマブがあることを知るほど賢い人は誰もいなかったということです」

■出典
Pfizer reveals its PD-1 secret

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