2019年10月23日、米国ブリストル・マイヤーズスクイブ社は、ファーストラインの進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象としたピボタルな第III相CheckMate -9LA試験において、ニボルマブ(商品名:オプジーボ、以下 オプジーボ)と低用量のイピリムマブ(商品名:ヤーボイ、以下 ヤーボイ)に化学療法2サイクルを追加した併用療法が、予め計画していた中間解析で、主要評価項目である全生存期間(OS)を達成したことを発表した。
本試験の対照薬群として、化学療法を最大4サイクル施行し、その後に任意で維持療法を施行した。本試験における併用療法群の安全性プロファイルは、ファーストラインのNSCLC治療において免疫療法と化学療法との併用療法でこれまでに認められているものと一貫していた。
CheckMate-9LA試験について
CheckMate-9LA試験は、PD-L1発現レベルおよび腫瘍の組織型にかかわらず、進行NSCLC患者のファーストライン治療薬として、オプジーボ360 mg(Q3W)とヤーボイ1 mg/kg(Q6W)に化学療法(2サイクル)を追加した併用療法を、化学療法(最大4サイクル後に、適格であればペメトレキセドによる維持療法を任意で施行)と比較した多施設共同無作為化非盲検第III相臨床試験を指す。
併用療法群の患者は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、最大2年間投与された。対照群の患者は、病勢進行または毒性が認められるまで、最大4サイクルの化学療法および(適格であれば)ペメトレキセドによる維持療法を任意で施行した。
本試験の主要評価項目は、ITT集団でのOS。副次評価項目には、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)およびバイオマーカーに基づく有効性判定が含まれていた。
オプジーボについて
オプジーボは、身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっている。
オプジーボのグローバル開発プログラムは、ブリストル・マイヤーズスクイブ社のがん免疫療法における科学的知見に基づいており、さまざまながん腫を対象に、第III相試験を含む全段階において広範な臨床試験が実施されている。
今日に至るまで、オプジーボの臨床試験プログラムには、35,000人以上の患者が参加している。
オプジーボの臨床試験は、治療におけるバイオマーカーの役割、特に、一連のPD-L1 の発現状況においてオプジーボが患者にどのようなベネフィットをもたらすかについて理解を深めることに役立っている。
オプジーボは、2014年7月に承認を取得した世界初のPD-1免疫チェックポイント阻害薬となり、現在、米国、欧州、日本および中国を含む65カ国以上で承認されている。
2015年10月、ブリストル・マイヤーズスクイブ社は、オプジーボとヤーボイの併用療法において転移性悪性黒色腫の適応でがん免疫療法薬の併用療法として初めて承認を取得し、現在、米国と欧州を含む50カ国以上で承認されている。
ヤーボイについて
ヤーボイは、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)に結合する遺伝子組み換えヒトモノクローナル抗体。CTLA-4は、T細胞の活性化を抑制する調節因子である。
ヤーボイは、CTLA-4と結合し、CTLA-4とそのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害する。CTLA-4が阻害されると、腫瘍浸潤エフェクターT細胞などの、T細胞の活性化と増殖が促されることが明らかになっている。
また、CTLA-4のシグナル伝達が阻害されると、制御性T細胞の機能が低下し、抗腫瘍免疫応答を含むT細胞の反応性が全体的に向上する可能性がある。2011年3月25日、米国食品医薬品局(FDA)は切除不能または転移性悪性黒色腫を適応としてヤーボイ3mg/kg単剤療法を承認した。
国内においては、2015年7月に、根治切除不能な悪性黒色腫を適応とする製造販売承認を取得。現在、ヤーボイは切除不能または転移性悪性黒色腫の治療薬として、50カ国以上で承認されている。
ヤーボイに関しては、複数のがん腫で、幅広い開発プログラムが進められている。