9月1日、Roche社は、免疫チェックポイント阻害薬PD-L1抗体アテゾリズマブ(TECENTRIQ;テセントリク)に関して、プラチナ系製剤の使用歴がある進行非小細胞肺がんを対象にドセタキセル(タキソテール)を対象とした第3相臨床試験(OAK試験)にて、主要評価項目である全生存期間(OS)を達成したと発表した。安全性データもこれまでに報告されているものと同様であるとのこと。本試験の結果は、2016年中に予定されている学会にて報告される予定。
OAK試験はオープンラベルの無作為化国際共同第3相臨床試験である。プラチナ系製剤の使用歴がある局所進行・転移性非小細胞肺がん患者1225人が1:1の割合で、アテゾリズマブ群(1200mg, 点滴静注、3週間ごと)とタキソテール群(75mg/㎡、点滴静注、3週間ごと)に割り付けられ、治療効果が持続する限り、または副作用により使用を中止せざる負えなくなるまで続けられた。
この試験の主要評価は2つあり、「参加した全員の全生存期間」および「PD-L1発現患者における全生存期間」であった。PD-L1発現は、腫瘍細胞および腫瘍内浸潤細胞(主に免疫細胞)を確認している。その他、奏効率、無増悪生存期間(PFS)、奏効持続期間、安全性などを確認している。
FDAは、アテゾリズマブを「プラチナ系製剤の使用歴がある局所進行・転移性非小細胞肺がん」適応にてブレイクスルーセラピーに指定している。Roche社は、優先評価対象としても申請し、FDAとの協議を重ねているとのことだ。
アテゾリズマブは、PD-L1抗体として、非小細胞肺がんにて初めて結果を残した薬剤となった。PD-L1発現によらず効果が確認できたとのことで、ニボルマブ(オプジーボ)と同じ適応となる。オプジーボはPD-1抗体、アテゾリズマブはPD-L1抗体とのことで、今後の使い分けが気になるところだ。
OAK試験はコチラ(clinical trials.gov)
A Randomized Phase 3 Study of Atezolizumab (an Engineered Anti-PDL1 Antibody) Compared to Docetaxel in Patients With Locally Advanced or Metastatic Non-Small Cell Lung Cancer Who Have Failed Platinum Therapy – “OAK”
アテゾリズマブ(TECENTRIQ:テセントリク)
腫瘍細胞および腫瘍浸潤性免疫細胞上に発現するPD-L1(programmed cell death-1 ligand-1)タンパク質に結合するモノクローナル抗体。 PD-L1は、T細胞の表面上に発現するPD-1およびB7.1に相互作用しT細胞の阻害を引き起こす。TECENTRIQは、PD-L1に結合しこの相互作用を遮断することで、T細胞の活性化、効果的な腫瘍細胞の検出、攻撃能力の回復を可能にする。TECENTRIQは、FDAで承認された初めての抗PD-L1の癌免疫療法で、適応はプラチナベース化学療法中または後に増悪した、あるいは術前術後のプラチナベース化学療法実施後12ヶ月以内に悪化した、局所進行性または転移性尿路上皮癌(MUC)患者に対する治療。
記事:可知 健太