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EGFRエクソン20挿入変異を有する進行性非小細胞肺がん患者に対するAmivantamab(JNJ-61186372)

この記事の3つのポイント
・EGFRエクソン20挿入変異を有する進行性非小細胞肺がん患者が対象の第1相試験
・二重特異性抗EGFR及びcMet抗体Amivantamab単剤療法有効性安全性を検証
・全患者群の客観的奏効率は36%、プラチナ系抗がん剤治療歴のある患者群では41%だった

2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にてEGFRエクソン20挿入変異を有する進行性非小細胞肺がん患者に対する二重特異性抗EGFR及びcMet抗体であるAmivantamab(JNJ-61186372)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT02609776)の結果がSungkyunkwan University School of MedicineのKeunchil Park氏らにより公表される。

本試験は、EGFRエクソン20挿入変異を有する進行性非小細胞肺がん患者に対してAmivantamab単剤療法を投与し、主要評価項目として安全性、客観的奏効率(ORR)などを検証した第1相試験である。本試験に登録された50人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は61歳(40-78歳)。性別は女性51%。前治療歴中央値は1レジメン(0-7レジメン)。

本試験が開始された背景は、EGFRエクソン20挿入変異は一般にEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)に対して難治性を示し、予後不良が不良である。二重特異性抗EGFR及びcMet抗体であるAmivantamabの作用機序はEGFRおよびMETの両方を標的とすることができ、EGFR C797S、T790M、exon20ins、MET増幅など様々なEGFR変異を有する患者に対して単剤療法で抗腫瘍効果を示すことが確認されている。以上の背景より、本試験が開始された。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は皮膚障害72%、インフュージョンリアクション60%、爪囲炎34%であった。また、グレード3以上の有害事象(AE)発症率は36%の患者で確認され、グレード3の下痢は1人の患者、グレード3以上の皮膚障害は1人の患者でも確認されなかった。

また、主要評価項目である全患者群の客観的奏効率(ORR)は36%(95%信頼区間:21%-53%)で確認され、プラチナ系抗がん剤治療歴のある患者群での客観的奏効率(ORR)は41%(95%信頼区間:24%–61%)であった。また、臨床的ベネフィット率(部分奏効以上、または病勢安定を11週間以上として定義)は67%の患者で確認され、プラチナ系抗がん剤治療歴のある患者群での臨床的ベネフィット率は72%を示した。

全患者群の無増悪生存期間PFS)中央値は8.3ヶ月(95%信頼区間:3.0-14.8ヶ月)、プラチナ系抗がん剤治療歴のある患者群の無増悪生存期間(PFS)中央値は8.6ヶ月(95%信頼区間:3.7-14.8ヶ月)を示した。

以上の第1相試験の結果がKeunchil Park氏らは以下のように結論を述べている。”EGFRエクソン20挿入変異を有する進行性非小細胞肺がん患者に対する二重特異性抗EGFR及びcMet抗体であるAmivantamab単剤療法の忍容性は良好でした。”

Amivantamab (JNJ-61186372), an anti-EGFR-MET bispecific antibody, in patients with EGFR exon 20 insertion (exon20ins)-mutated non-small cell lung cancer (NSCLC).(DESTINY-Gastric01).(2020 ASCO VIRTUAL SCIENTIFIC PROGRAM,Abstract No:9512)

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