・未治療の進行性ALK陽性非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・ALK阻害薬アレセンサ単剤療法の有効性・安全性を検証
・5年全生存率はアレセンサ群62.5%に対してザーコリ群は45.5%だった
2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にて未治療の進行性ALK陽性非小細胞肺がん患者に対するALK阻害薬であるアレクチニブ(商品名アレセンサ 以下アレセンサ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のALEX試験(NCT02075840)の5年長期フォローアップ解析の結果がLausanne University Hospital・Solange Peters氏らにより公表された。
ALEX試験とは、未治療の進行性ALK陽性非小細胞肺がん患者に対して1日1回アレセンサ600mg単剤療法を投与する群(N=152人)、または1日2回クリゾチニブ(商品名ザーコリ 以下ザーコリ)250mg単剤療法を投与する群(N=151人)に無作為に割り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)などを比較検証した国際多施設共同の第3相試験である。
本試験の5年長期フォローアップ解析が公表された背景として、2019年11月の最終解析報告では主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はアレセンサ群34.8ヶ月(95%信頼区間:17.7ヶ月-未到達)に対してザーコリ群10.9ヶ月(95%信頼区間:9.1-12.9ヶ月)、アレセンサ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを57%(HR:0.43,95%信頼区間:0.32-0.58)統計学有意に改善することが示されている。以上の背景より、5年長期フォローアップ解析の全生存期間(OS)の結果が公表された。
本試験のフォローアップ期間中央値48.2ヶ月時点の結果、副次評価項目である全生存期間(OS)は下記の通りである。3年全生存率(OS)はアレセンサ群67.0%(95%信頼区間:59.1%–74.8%)に対して 57.0%(95%信頼区間:48.2%–65.9%)、4年全生存率(OS)はアレセンサ群65.3%(95%信頼区間:57.3%–73.3%)に対して51.2%(95%信頼区間:42.1%–60.3%)、5年全生存率(OS)はアレセンサ群62.5%(95%信頼区間:54.3%–70.8%)に対して45.5%(95%信頼区間:33.6%–57.4%)を示した。
一方の安全性として、治療期間中央値アレセンサ群28.1ヶ月、ザーコリ群10.8ヶ月時点における結果は下記の通りである。有害事象(AE)による治療中止率はアレセンサ群14.5%に対してザーコリ群14.6%、有害事象(AE)による薬剤用量減量率はアレセンサ群20.4%に対してザーコリ群19.9%を示した。
以上のALEX試験の5年長期フォローアップ解析の結果よりLausanne University Hospital・Solange Peters氏らは「未治療の進行性ALK陽性非小細胞肺がん患者に対するALK阻害薬アレセンサ単剤療法は、ザーコリよりも5年全生存率(OS)を改善しました。なお、全生存期間(OS)のデータは未だに未成熟ですので、引き続きフォローアップが必要になります」と結論を述べている。