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進展型小細胞肺がんに対する一次治療薬としてイミフィンジ±トレメリムマブ+EP療法、アップデート解析結果を発表

この記事の3つのポイント
・進展型小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・イミフィンジ±トレメリムマブ+EP療法の有効性安全性を比較検証
・イミフィンジ+EP療法に対し、トレメリムマブの上乗せ効果は確認できなかった

2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にて進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者に対するファーストライン治療薬としての抗PD-L1抗体薬であるデュルバルマブ(商品名イミフィンジ;イミフィンジ)±抗CTLA-4抗体薬であるトレメリムマブ+化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCASPIAN試験(NCT03043872)のアップデート解析の結果がHospital Universitario 12 de OctubreのLuis G. Paz-Ares氏らにより公表された。

CASPIAN試験とはES-SCLC患者に対するファーストライン治療として、イミフィンジ1500mg+EP療法(エトポシドとシスプラチンもしくはカルボプラチン)群、イミフィンジ1500mg+トレメリムマブ75mg+EP療法群、EP療法群に1対1対1の割合で無作為に振り分け、それぞれ3週を1サイクルとして投与した無作為化非盲検国際多施設共同試験である。全生存期間OS)を主要評価項目として比較検証を行った。

CASPIAN試験の初回解析の結果では、EP療法群に比べてイミフィンジ+EP療法群で死亡(OS)のリスクを27%(HR:0.73,95%信頼区間:0.59–0.91,P=0.0047)統計学的に有意に改善することが示されている。しかし、EP療法に対するイミフィンジ+トレメリムマブ+EP療法の優越性を示すことができなかった。そのため今回、本試験のアップデート解析としてフォローアップ期間中央値25.1ヶ月時点における解析の結果が公表された。

本試験の結果、EP療法に比べてイミフィンジ+EP療法は死亡(OS)のリスクを25%(HR:0.75,95%信頼区間:0.62–0.91,P=0.0032)統計学的に有意に改善し、全生存期間(OS)中央値はイミフィンジ+EP療法群12.9ヶ月に対してEP療法群10.5ヶ月を示した。一方、EP療法に比べてイミフィンジ+トレメリムマブ+EP療法は死亡(OS)のリスクを18%(HR:0.82,95%信頼区間:0.68–1.00,P=0.0451)改善するも、両群間で統計学的な有意差は確認されなかった。

また、副次評価項目である客観的奏効率ORR)はEP療法群58.0%に対してイミフィンジ+トレメリムマブ+EP療法群58.4%で同等。無増悪生存期間PFS)中央値はEP療法群5.4ヶ月に対してイミフィンジ+トレメリムマブ+EP療法群4.9ヶ月で同等。1年無増悪生存率(PFS)はEP療法群5.3%に対してイミフィンジ+トレメリムマブ+EP療法群16.9%を示した。

以上のCASPIAN試験の結果よりLuis G. Paz-Ares氏らは「進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者に対するファーストライン治療薬としてのイミフィンジ+EP療法は、現在の標準治療であるEP療法に比べて全生存期間(OS)を統計学有意に改善するものの、抗CTLA-4抗体薬であるトレメリムマブの上乗せ効果は確認できませんでした」と結論を述べている。

Durvalumab ± tremelimumab + platinum-etoposide in first-line extensive-stage SCLC (ES-SCLC): Updated Results from the phase III CASPIAN study.(2020 ASCO Virtual Scientific Program,Abstract No:9002)

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