・転移性尿路上皮がん、その他泌尿器生殖器患者が対象の第1相試験
・カボメティクス+オプジーボ±ヤーボイ併用療法の有効性・安全性を検証
・副次評価項目である客観的奏効率は全患者群で30.6%、転移性尿路上皮がん群で38.5%
2020年9月11日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて転移性尿路上皮がんまたはその他泌尿生殖器がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるカボメティクス(一般名:カボザンチニブ、以下カボメティクス)+抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)、カボメティクス+オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬であるヤーボイ(一般名:イピリムマブ、以下ヤーボイ)併用療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT02496208)の結果がCenter for Cancer ResearchのAndrea B. Apolo氏らにより公表された。
本試験は、転移性尿路上皮がんまたはその他泌尿生殖器がん患者(N=54人)に対してカボメティクス+オプジーボ併用療法を投与する群、カボメティクス+オプジーボ+ヤーボイ併用療法を投与する群に分けて、主要評価項目として第2相推奨試験推奨用量(RP2D)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、奏効持続期間(DOR)、全生存期間(OS)などを検証した第1相試験である。
本試験が開始された背景として、マルチキナーゼ阻害薬カボメティクス、免疫チェックポイント阻害薬オプジーボ、ヤーボイは、抗腫瘍効果が確認されている。以上の背景より、転移性尿路上皮がんまたはその他泌尿生殖器がん患者に対するカボメティクス+オプジーボ±ヤーボイ併用療法の有用性が本試験にて検証された。
本試験のフォローアップ期間中央値44.6ヶ月時点における結果は下記の通りである。グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はカボメティクス+オプジーボ併用群75%、カボメティクス+オプジーボ+ヤーボイ併用群87%をそれぞれ示した。また、多くの患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は疲労17%、10%、下痢4%、7%、高血圧21%、10%だった。
また、多くの患者で確認されたグレード3~4の免疫関連治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。肝炎は、カボメティクス+オプジーボ併用群0%、カボメティクス+オプジーボ+ヤーボイ併用群13%、大腸炎はそれぞれ0%、7%だった。
以上の結果より、主要評価項目である第2相推奨試験推奨用量(PR2D)は1日1回カボメティクス40mg+オプジーボ3mg/kg、1日1回カボメティクス40mg+オプジーボ3mg/kg+ヤーボイ1mg/kgとして決定した。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は全患者群で30.6%(95%信頼区間:20.0%-47.5%)、転移性尿路上皮がん群で38.5%(95%信頼区間:13.9%-68.4%)を示した。奏効持続期間(DOR)中央値は全患者群で21.0ヶ月(95%信頼区間:5.4-24.1ヶ月)、転移性尿路上皮がん群で未到達を示した。無増悪生存期間(PFS)中央値は全患者群で5.1ヶ月(95%信頼区間:3.5-6.9ヶ月)、転移性尿路上皮がん群で12.8ヶ月(95%信頼区間:1.8-24.1ヶ月)を示した。全生存期間(OS)中央値は全患者群で12.6ヶ月(95%信頼区間:6.9-18.8ヶ月)、転移性尿路上皮がん群で25.4ヶ月(95%信頼区間:5.7-41.6ヶ月)を示した。
以上の第1相試験の結果よりAndrea B. Apolo氏らは「転移性尿路上皮がんまたはその他泌尿生殖器がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬カボメティクス+抗PD-1抗体薬オプジーボ±ヤーボイ併用療法は持続的な抗腫瘍効果を示し、忍容性も良好でした。本治療法のさらなる有用性を検証するため、第2相試験、第3相試験を継続的に実施して検証していきます」と結論を述べている。