・進行性腎細胞がん患者が対象の第3相試験
・ファーストライン治療としてレンビマ+キイトルーダ併用療法、レンビマ+エベロリムス併用療法の有効性・安全性をスニチニブ単剤療法と比較検証
・レンビマ+キイトルーダの無増悪生存期間は23.9ヶ月でスニチニブに対して統計学的有意に延長を示し、
全生存期間においても死亡リスクを34%減少した
2021年2月13日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて進行性腎細胞がん患者に対するファーストライン治療としての経口チロシンキナーゼ阻害薬であるレンビマ(一般名:レンバチニブメシル酸塩、以下レンビマ)+抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCLEAR(307)/KEYNOTE-581試験(NCT02811861)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのRobert J. Motzer氏らにより公表された。
CLEAR(307)/KEYNOTE-581試験とは、進行性腎細胞がん患者(N=1069人)に対するファーストライン治療として1日1回レンビマ20mg+3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg併用療法を投与する群(N=355人)、1日1回レンビマ18mg+1日1回エベロリムス5mg併用療法を投与する群(N=357人)、または1日1回スニチニブ50mg単剤療法を4週間投与後、2週間休薬する群(N=357人)に1対1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、安全性などを比較検証した第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はレンビマ+キイトルーダ併用群23.9ヶ月に対してスニチニブ単剤群9.2ヶ月、レンビマ+キイトルーダ併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを61%減少(HR:0.39、95%信頼区間:0.32-0.49、P<0.001)した。また、レンビマ+エベロリムス併用群14.7ヶ月に対してスニチニブ単剤群9.2ヶ月、レンビマ+エベロリムス併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを35%減少(HR:0.65、95%信頼区間:0.53-0.80、P<0.001)した。
副次評価項目である全生存期間(OS)は、スニチニブ単剤群に比べてレンビマ+キイトルーダ併用群で死亡(OS)のリスクを34%減少(HR:0.66、95%信頼区間:0.49-0.88、P=0.005)した。一方、スニチニブ単剤群に比べてレンビマ+エベロリムス併用群で死亡(OS)のリスクを15%増加(HR:1.15、95%信頼区間:0.88-1.50、P=0.30)した。
安全性としては、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はレンビマ+キイトルーダ併用群82.4%、レンビマ+エベロリムス併用群83.1%、スニチニブ単剤群71.8%を示した。3群それぞれの少なくとも10%以上の患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は高血圧、下痢、リパーゼ上昇であった。
以上のCLEAR(307)/KEYNOTE-581試験の結果よりRobert J. Motzer氏らは「進行性腎細胞がん患者に対するファーストライン治療としての経口チロシンキナーゼ阻害薬レンビマ+抗PD-1抗体薬キイトルーダ併用療法は、スニチニブ単剤群に比べて無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を統計学的有意に改善しました」と結論を述べている。