・EGFRまたはHER2エクソン20遺伝子変異陽性の転移性非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
・Poziotinib(ポジオチニブ)の単剤療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は27.8%を示し、投与回数は1日1回より1日2回投与の方が有害事象が低率であった
2021年3月1日~2日、バーチャルミーティングにて開催されたESMO抗癌治療会議(ESMO Targeted Anticancer Therapies Congress TAT 2021)にてEGFR/HER2エクソン20遺伝子変異陽性の転移性非小細胞肺がん患者に対するチロシンキナーゼ阻害薬であるPoziotinib(ポジオチニブ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のZENITH20試験 (NCT03318939) のコホート3、コホート5の結果がPrincess Margaret Cancer Centre in TorontoのAdrian Sacher氏らにより公表された。
ZENITH20試験とは、EGFR/HER2エクソン20遺伝子変異陽性の転移性非小細胞肺がん患者に対して1日1回もしくは2回Poziotinib(ポジオチニブ)単剤療法を投与し、評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性を検証したマルチコホートの第2相試験である。
なお、コホート3では79人の未治療のEGFRエクソン20遺伝子変異陽性の転移性非小細胞肺がん患者に対して1日1回Poziotinib(ポジオチニブ)16mg単剤療法を投与し、コホート5では40人のEGFR/HER2エクソン20遺伝子変異陽性の転移性非小細胞肺がん患者に対して1日1回Poziotinib(ポジオチニブ)10mg、12mg、16mg単剤療法、または1日2回Poziotinib(ポジオチニブ)6mg、8mg単剤療法を投与している。
本試験のコホート3におけるフォローアップ期間9.2ヶ月時点における結果は下記の通りである。客観的奏効率(ORR)は27.8%(95%信頼区間:18.4–39.1%)を示し、病勢コントロール率(DCR)は86.1%を示した。また、奏効持続期間(DOR)中央値は6.5ヶ月、無増悪生存期間(PFS)中央値は7.2ヶ月を示した。安全性としては、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は皮膚障害33%、下痢23%であった。
コホート5における結果は下記の通りである。安全性に関して、全グレードの有害事象(AE)発症率は1日1回Poziotinib(ポジオチニブ)群に比べて1日2回Poziotinib(ポジオチニブ)群で低率であり、全グレードの有害事象(AE)発症率は1日1回Poziotinib(ポジオチニブ)16mg群の31%に対して1日2回Poziotinib(ポジオチニブ)8mg群で21%、1日1回Poziotinib(ポジオチニブ)12mg群の27%に対して、1日2回Poziotinib(ポジオチニブ)6mg群で16%であった。
以上のZENITH20試験のコホート3、コホート5の結果よりAdrian Sacher氏らは「コホート3の結果より、未治療のEGFRエクソン20遺伝子変異陽性の転移性非小細胞肺がん患者に対する1日1回Poziotinib(ポジオチニブ)16mg単剤療法は臨床的意義のある抗腫瘍効果を示しました。また、Poziotinib(ポジオチニブ)の投与スケジュールは1日1回よりも1日2回の方が有害事象(AE)の発症が低率であることが示されました」と結論を述べている。