・脳転移のある無症候性悪性黒色腫患者が対象の第2相試験
・オプジーボ+ヤーボイ併用療法の有効性・安全性を検証
・長期3年フォローアップ(F/U)で頭蓋内臨床的ベネフィット率57.4%を示した
2021年11月11日、医学誌『The Lancet Oncology』にて脳転移のある悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+抗CTLA-4抗体薬であるヤーボイ(一般名:イピリムマブ、以下ヤーボイ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のCheckMate 204試験(NCT02320058)の長期3年フォローアップの結果がUniversity of Texas MD Anderson Cancer CenterのHussein A Tawbi氏らにより公表された。
CheckMate 204試験は、脳転移のある悪性黒色腫(メラノーマ)患者(N=119人)に対して3週を1サイクルとしてオプジーボ1mg/kg+ヤーボイ3mg/kg併用療法を4サイクル実施後、2週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg単剤療法を最大2年間、病勢進行、または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与し、主要評価項目として頭蓋内臨床的ベネフィット率(CBR;6ヶ月以上の病勢安定(SD)、部分奏効(PR)、完全奏効(CR)として定義)、重要な副次評価項目として頭蓋内病変無増悪生存期間(iPFS)、全生存期間(OS)を検証した多施設共同オープンラベルの第2相試験である。なお、患者は無症候性、症候性によりコホートA(N=101人)、コホートB(N=18人)に分けられている。
本試験の結果、主要評価項目である頭蓋内臨床的ベネフィット率(CBR)はコホートAで57.4%(N=58人、95%信頼区間:47.2~67.2%)、コホートBで16.7%(N=3人、95%信頼区間:3.6~41.4%)を示した。なお、完全奏効率(CR)はコホートAで33%(N=33人)、コホートBで17%(N=3人)であった。
コホートAにおける副次評価項目である36ヶ月頭蓋内病変無増悪生存率(iPFS)は54.1%(95%信頼区間:42.7~64.1%)、36ヶ月全生存率(OS)は36.6%(95%信頼区間:14.0~59.8%)であった。
最も多くの患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)はコホートAでAST/ALT増加15%(N=15人)、コホートBでは確認されなかった。重篤な治療関連有害事象(SAE)はコホートAで大腸炎、下痢、下垂体炎、ALT増加、コホートBでは確認されなかった。
以上のCheckMate 204試験の長期3年フォローアップの結果よりHussein A Tawbi氏らは「脳転移のある無症候性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する抗PD-1抗体薬オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法は持続的で抗腫瘍効果を示し、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を改善しました」と結論を述べている。